B細胞(B lymphocyte)は、リンパ球の一種であり、獲得免疫により抗体を産生する中心的な役割を果たす。B細胞は骨髄(Bone marrow)で発生・分化し、2次リンパ節へ移行し成熟する。
特徴
- B細胞受容体(BCR)
- 抗原を特異的に認識する膜結合型抗体。
- 抗原に結合すると、B細胞が活性化され、抗体産生や分化が促進する。
- 適応免疫の担い手
- B細胞は液性免疫(体液性免疫)の中心であり、T細胞とともに病原体に排除に関与する。
主な機能
- 抗体の産生
- 活性化したB細胞は**形質細胞(プラズマ細胞)**に分化し、大量の抗体(免疫グロブリン)を産生する。
- 抗体は血液や体液中に分泌され、病原体や毒素を中和したり、免疫細胞に除去を促す。
- 抗原提示
- B細胞は抗原を取り込み、断片化したペプチドをMHCクラスII分子上に提示(抗原提示細胞として作用)し、**ヘルパーT細胞(CD4+ T細胞)**を活性化する。
- 免疫記憶
- 一部のB細胞は記憶B細胞として残り、再感染時に迅速かつ強力な免疫応答を引き起こす。
抗体(免疫グロブリン)の種類
B細胞は以下の抗体を産生します(抗原の種類や環境に応じてクラススイッチを行う):
- IgM
H鎖定常部:μ鎖
一次免疫応答で重要な働きを示す抗体
補体活性化能が高い、凝集能大
- IgG
H鎖定常部:γ鎖
ヒト血清中の主な抗体、免疫グロブリンの約70〜75%を占める
抗原が2度目に体内に侵入したときに多く産生される
胎盤通過性があり、新生児の免疫能が完成するまでの間、感染防御に働く
- IgA
H鎖定常部:α鎖
涙液、唾液、腸液や母乳中に分泌型二量体として分泌される
- IgE
H鎖定常部:ε鎖
即時型アレルギーを誘発する抗体 - IgD
H鎖定常部:δ鎖
臨床的意義
- 自己免疫疾患
- B細胞が自己抗原を誤認識して抗体を産生すると、関節リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患を引き起こす。
- 免疫不全
- B細胞の欠損や機能不全は、抗体産生の不足を引き起こし、細菌感染に対する抵抗力を低下させる。
- がん
- B細胞由来のがん(例: リンパ腫、白血病)も存在し、異常な増殖が認められる。
- 治療ターゲット
- リツキシマブなどのモノクローナル抗体は、B細胞を標的として治療に用いられる。
B細胞は、病原体への特異的な応答を担う重要な細胞であり、その役割は感染防御だけでなく、免疫疾患やがんの理解・治療にも深く関与している。




コメント