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B型肝炎

B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(Hepatitis B Virus, HBV)によって引き起こされる感染症である。主に肝臓に影響を及ぼし、急性および慢性の肝炎を引き起こす可能性がある。

原因

  • 病原体: HBVはDNAウイルスで、ウイルス粒子を持つ特徴的な構造をしている。
  • 感染経路:
    1. 血液感染:汚染された注射針や医療器具の使用、輸血、刺青、ピアス。
    2. 母子感染:感染した母親から新生児への垂直感染。
    3. 性行為感染:性交渉による体液を介した感染。

症状

急性B型肝炎

  • 感染後1~6か月の潜伏期を経て症状が現れることがある。
    症状は多くの場合軽度ですが、重症化することもある。

    • 倦怠感、発熱
    • 食欲不振、吐き気
    • 腹痛
    • 黄疸(皮膚や目の白目部分が黄色くなる)
    • 濃い尿、淡い便
  • 急性肝炎はほとんどの場合自然に回復しますが、稀に急性肝不全(劇症肝炎)に進行することがある。

慢性B型肝炎

  • 初期段階では無症状であることが多いですが、数年から数十年の経過で以下の症状や合併症が発生することがある:
    • 持続的な疲労感
    • 肝硬変の症状(腹水、浮腫、黄疸)
    • 肝細胞がんの発症

診断

  1. 血液検査:
    • HBs抗原(表面抗原): 感染の有無を確認。
    • HBe抗原:ウイルスの増殖状態を評価。
    • HBV DNA:ウイルス量を測定し、感染の活動性を評価。
    • 肝機能検査:ALTやASTなどの肝酵素値を測定。
    • HBs抗体:過去にHBVに感染して、回復期に移行している。また、HBVワクチンを摂取し、免疫を獲得している。
  2. 画像診断:
    • 超音波検査、CTスキャン、MRIなどで肝臓の状態を評価。
  3. 肝生検:
    • 肝臓の組織を直接調べ、炎症や線維化の程度を確認することがある。

治療

急性B型肝炎

  • 多くの場合、特別な治療を行わなくても自然回復する。
  • 重症の場合は、入院して支持療法(症状を緩和する治療)を行う。

慢性B型肝炎

  • 抗ウイルス療法を行い、ウイルスの増殖を抑制し肝臓の損傷を防ぐ。
    • 核酸アナログ製剤:エンテカビル、テノホビルなど。
    • インターフェロン療法:免疫応答を強化してウイルスを抑制。
  • 肝硬変や肝がんの進行を防ぐため、定期的なモニタリングと治療が必要である。

予防

  1. ワクチン接種:
    • B型肝炎ワクチンは非常に効果的で、感染を予防するために世界的に推奨されている。
  2. 感染予防:
    • 血液や体液への直接接触を避ける。
    • 清潔な医療器具を使用する。
    • 性行為における適切な防護(コンドームの使用)。
  3. 母子感染対策:
    • HBs抗原陽性の妊婦の場合、新生児にHBIG(B型肝炎免疫グロブリン)とワクチンを投与することで母子感染を予防する。

合併症とリスク

  1. 肝硬変:
    • 慢性B型肝炎が進行すると肝臓が線維化し、正常機能が失われる。
  2. 肝細胞がん:
    • 慢性B型肝炎は肝がんの主要な原因の一つ。
  3. 劇症肝炎:
    • 急性B型肝炎が急速に悪化し、肝機能が失われる重篤な状態。

まとめ

B型肝炎は感染経路が明確で予防が可能な感染症ですが、慢性化すると重大な肝疾患を引き起こす可能性がある。早期診断と治療、適切な予防策(ワクチン接種や感染予防)が、感染拡大の防止と重症化の回避に重要である。また、慢性B型肝炎患者は定期的な医療管理を受けることで、肝硬変や肝がんのリスクを軽減することが可能である。

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