薬剤師国家試験出題項目

化学変化に伴うエンタルピー変化

1 化学変化に伴うエンタルピー変化

定圧条件ではエンタルピーの変化量は、出入りする熱と等価になる。

<定圧条件>
H2(g)+1/2O2 (g)→ H2O(l)  ΔH=-285.8kJ

上記の反応では、ΔHがマイナスであるため、発熱反応であると考えられる。
上記のように、ΔH(エンタルピー変化量)が表記されていれば、その反応が発熱反応であるか、吸熱反応であるか判断することが可能である。ちなみに化学変化によるエンタルピー変化量を「反応エンタルピー」とよぶ。


2 ヘスの法則

エンタルピーは状態量であることから、その変化量は、反応の経路によらず、反応物と生成物の状態量の差により決定される(このことをヘスの法則という)。
状態量の変化量については、反応過程に依存せず、始めの状態と最後の状態により決定される(ヘスの法則)ことから、状態量の変化量の計算問題が出題されてた場合には、始めの状態と最後の状態を一致させ、状態量の変化量を計算することができる。
例えば、X→Y におけるエンタルピーの変化量を求める問題が出題され、X→A、A→Yのエンタルピーの変化がそれぞれΔx、Δyと与えられている場合

①:エンタルピー変化量を求めたい反応式を記載する
 X→Y
②:エンタルピー変化量を求めたい反応式を条件の式から作成する(このとき、始めの状態と最後の状態を合わせる。)。
X→A→Y

③:②をもとにエンタルピーの変化量を求める
X→Yのエンタルピー変化量=Δx+Δy


3 標準生成エンタルピーの推定

標準生成エンタルピーとは、標準圧力において最も安定な元素単体からその化合物が生じる反応熱のことである。標準生成エンタルピーは、燃焼エンタルピーより求めることができる。
例)エタノールの標準生成エンタルピー(kJmol-1)を求めよ。ただし、エタノールの燃焼エンタルピーを-1366.7 kJmol-1、炭素(黒鉛)の燃焼エンタルピーを-393.5 kJmol-1、水素の燃焼エンタルピーを-285.8 kJmol-1とする。

<解法>
①:元素単体からエタノールが生成される反応式を記載する
2C(黒鉛)+3H2(g)+1/2O2(g) →  C2H5OH (l)…Ⅰ

②:元素単体が燃焼される反応式を記載する
C2H5OH(l) + 3O2(g)→ 2CO2 (g)+ 3H2O(l)…Ⅱ
C(黒鉛) + O2(g)→ CO2(g)…Ⅲ
 H2(g) + 1/2O2(g)→ H2O(l)…Ⅳ

③ :ⅠをⅡ、Ⅲ、Ⅳより作る。
Ⅰ=2×Ⅲ+3×Ⅳ-Ⅱ

④:③で作った式ともとに燃焼エンタルピーを用いて、標準生成エンタルピーを求める。

標準生成エンタルピー=2×(-393.5 kJmol-1)+3×(-285.8 kJmol-1)-(-1366.7 kJmol-1)=-277.7 kJmol-1


4 転移エンタルピー

純物質には、固相、液相、気相の三相があり、圧力一定の場合、異なる相の間の転移(相転移)は、一定の温度で起こり、その温度を転移点という。相転移では、熱の出入りがあり、これを相転移に基づくエンタルピー変化、転移エンタルピーという。

転移エンタルピーには、融解過程(固体が液体になる過程)のエンタルピー変化である融解エンタルピー、蒸発過程(液体が気体になる過程)のエンタルピー変化である蒸発エンタルピー、昇華過程(固体が気体になる過程)のエンタルピー変化である昇華エンタルピーがあり、それぞれの大小関係は、物質によらず、融解エンタルピー<蒸発エンタルピー<昇華エンタルピーとなっている。

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