日別アーカイブ: 2019年5月15日

1 原子の構造と放射改変

原子と原子核

物質の最小単位を原子という。原子については、原子核と電子で構成されており、原子核は正電荷をもつ陽子と電荷を持たない中性子で構成されている。
原子は、陽子の数により番号が振り分けられており、その番号を原子番号という。また、原子には質量があり、その質量を質量数で表す。原子の質量についてはほとんどが陽子と中性子の数によって決定されることから、質量数は陽子の数と中性子の数の和で表される。
核種については、陽子数、質量数、エネルギー状態により原子、原子核の状態を表したものである。

1)同位体
 原子番号が同じで、質量数が異なる核種を同位元素または同位体という。
 例)炭素
炭素には、11C、12C、13C、14Cがあり、それぞれ陽子の数は6で同じであるが、中性子の数が異なり、それによりエネルギー状態が異なる。
 12C、13C:安定同位体→放射線を放出しない
 11C、14C:不安定同位体→放射線を放出する
 原子のエネルギー状態は、陽子と中性子の数により異なり、陽子と中性子の数が近いほどエネルギーが低く安定である。炭素については、12C、13Cは安定同位体であり、放射線を放出しない。そのことから、13Cについては、ヘリコバクター・ピロリ菌の検出試験である尿素呼気試験に用いられている。 

2)同重体
 原子番号が異なり、質量数が同じ核種を同重体という。


放射壊変

放射壊変とは、親核種(エネルギー状態の高い核種)が娘核種(エネルギー状態の低い核種)になる際、放射線(α線、β線、γ線、X線)を放出する現象のことである。

親核種(不安定) → 娘核種(安定)+放射線

1)放射壊変の形式
 放射壊変には、α壊変、β壊変、γ壊変がある。

①α壊変
原子核からヘリウム原子核(4He2)が放出される放射壊変をα壊変という。この壊変は一般に質量数の大きい(質量数210以上)の原子核で起こる。
親核種AZX→娘核種A-4Z-2Y+42He2(α線)
α壊変によって親核種Xは原子番号が2、質量数が4減少した娘核種Yとなる。

②β壊変
原子核内の陽子と中性子が電子を介して相互変換する過程を総称してβ壊変という。β壊変には、陰電子の放出を伴うβ壊変、軌道電子を原子核に取り込む軌道電子捕獲、陽電子の放出を伴うβ壊変がある。β壊変では、連続スペクトルを示すβ線が放出され、また、親核種と娘核種の質量数は変化しない。

・β壊変
 原子核から陰電子が放出される放射壊変をβ壊変という。
 この壊変は一般に中性子が過剰(陽子の数<中性子の数)の原子核で起こる。
親核種AZX → 娘核種AZ+1Y+陰電子(β線)+ニュートリノ
<参考:ニュートリノ>
ニュートリノとは、中性微子といわれ実質の質量はなく、連続のエネルギーを有する。

β壊変によって親核種Xは原子番号が1増加、質量数が同じ娘核種Yとなる。

・β壊変
原子核から陽電子が放出される放射壊変をβ壊変という。
この壊変は一般に陽子が過剰(陽子の数>中性子の数)の原子核で起こる。
親核種AZX → 娘核種AZ-1Y+陽電子(β線)+ニュートリノ
β壊変によって親核種Xは原子番号が1減少、質量数が同じ娘核種Yとなる。

・軌道電子捕獲(EC)
原子核に軌道電子が取り込まれる放射壊変を軌道電子捕獲(EC)という。
この壊変は一般に陽子が過剰(陽子の数>中性子の数)の原子核で起こる。
親核種AZX +e → 娘核種AZ-1Y+ニュートリノ
軌道電子捕獲によって親核種Xは原子番号が1減少、質量数が同じ娘核種Yとなる。

③γ線放出と核異性体転移
 α壊変後及びβ壊変後に原子核が不安定な状態であるとき、その余分なエネルギーをγ線(電磁波)として放出することがある。
親核種AZX → 娘核種AZY+γ線
γ線放出によって親核種Xは原子番号、質量数が同じ娘核種Yとなる。

<参考:核異性体転移>
原子核が励起状態にあり、1秒以上程度の寿命を持つような核種を核異性体といい、基底状態の原子核と区別して、質量数の後ろにmを付けて表す。
核異性体が基底状態になることを核異性体転移(IT)といい、その際γ線が放出される。

核異性体の例
99mTc → 99Tc + γ線

<参考:親核種について>
α線:質量数210以上の原子核
β線:3H、14C、90Sr(中性子が陽子よりも多い)
β線:11C、18F
γ線のみ:99mTc、123I、125I
β線+γ線:40K、60Co、131I、137Cs

2)X線
 X線とγ線は電磁波であり、本質的に同じものである。両者は発生の仕方により分類されている。
γ線:放射壊変により原子核から放出される
X線:電子線を物質に衝突させた際、原子核外から放出される
X線は、γ線と同じ電磁波であるが、γ線に比べ、波長が長く、エネルギーが小さい。

・X線の発生
<封入式X線管球>
陰極(フィラメント)から放出された熱電子を対陰極に衝突させ、X線を発生させる装置を封入式X線管球という。封入式X線管球より、連続X線と特性(固有)X線が発生する。
・特性(固有)X線
一定の波長を持ったX線(波長については対陰極に用いる金属に依存する)


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