日別アーカイブ: 2019年5月12日

分子の振動、回転、電子遷移

分子の振動遷移

1)赤外吸収スペクトル
 分子に赤外線領域(波長:2.5〜25 µm)の電磁波を照射すると、その照射された電磁波のエネルギーが振動エネルギーに一致する場合、分子振動が励起される。分子振動の励起に必要なエネルギーは分子の化学構造に依存することから、吸収された電磁波のエネルギー量より、その結合の種類を知ることができる。赤外吸収現象はすべての物質によって認められることはなく、分子振動により双極子モーメントに変化が生じるものだけが赤外活性になり赤外線吸収が認められる。
例えば、二酸化炭素の場合、下記に示す伸縮振動および変角振動を起こす。

全対称伸縮振動では、伸縮振動により炭素の位置は変化しない(双極子モーメントは変化しない)ため、赤外線を吸収しないが、逆対称伸縮振動、変角振動では、炭素の位置が変化する(双極子モーメントが変化する)ため、赤外線を吸収する。なお、等核二原子分子(窒素分子、酸素分子)では、双極子モーメントが0であるため、赤外吸収は認められない。


分子の回転遷移

極性分子にマイクロ波を照射すると、量子化された回転エネルギー準位間で遷移が起こる。分子の回転の励起に必要なエネルギーは分子の構造により異なるため、回転エネルギー準位の変化より分子の構造決定が可能となる。

1)マイクロ波スペクトル(回転スペクトル)
 極性分子(永久双極子モーメントを有する分子)にマイクロ波を加えると、極性分子の回転が強められる。その際の遷移エネルギーより核間距離を求めることができる。これを利用したのが、回転分光法(マイクロ波)分光法である。


分子の電子遷移、放射遷移

1)電子スペクトル
 分子に紫外可視領域の電子波を照射すると、それらを吸収することがある。この現象は、分子内の電子が基底状態(エネルギーが低い状態)から励起状態(エネルギーが高い状態)に遷移することにより起こる。この遷移を測定したものが紫外可視スペクトル(電子スペクトル)である。
 電子スペクトルについては、以下のように分類される。

紫外可視領域の電磁波を照射すると、分子中の電子が光を吸収し、エネルギー状態が高くなることがある。これらの現象を利用して物質の同定を行う機器分析法に紫外可視吸光度測定法がある。

2)蛍光とりん光
 発光を伴う放射遷移では、分子がその励起エネルギーを放出し、よりエネルギーの低い基底状態へ遷移する際、発光現象を伴う。その発光現象では、蛍光及びりん光が放出されることがある。蛍光とは、放射遷移のうち、同じスピン多重度をもつ状態間の発光遷移のことであり、りん光とは、放射遷移のうち、異なるスピン多重度をもつ状態間の発光遷移のことである。
通常、一重項状態間の遷移が蛍光であり、励起一重項状態から励起三重項状態へと移行し、ついで基底一重項へ遷移するのがりん光である。
蛍光及びリン光を利用した機器分析法には、蛍光スペクトル測定法がある。 


yakulab studyでは、上記の内容をPDF、動画にまとめています。
yakulab studyで勉強したい方は
下記のバナーより詳細をyakulab studyの詳細を確認して下さい。