エントロピー

エントロピー 1 自発的変化(自然に起こる変化) 自発的変化の例を以下に示す。 ・水にインクを垂らすとインクが全体に拡がる。 ・気体を入れた容器と真空の容器を連結させると、気体を入れた容器から真空の容器へ気体が拡がる。 ・熱いものを冷水に浸すと、熱いものは冷え、冷水は暖かくなる。 など 上記のように、自然に進行する変化を自発的変化といい、均一化、もしくは静止の状態(平衡状態)へと反応が進行する。 2 自発的変化と乱雑さ(エントロピー) 自発的変化の詳細を考えるにあたり、等温過程において、気体の入った容器と真空の容器を連結させた場合について考えてみる。気体の入った容器を真空の容器を連結させると、気体は徐々に真空の容器に拡がっていく。この反応では、気体分子は真空容器へ乱雑に散らばる。このことから、自発的な変化は物質が乱雑に散らばろうとする傾向がある。この分子が乱雑に散らばることを指標化したものが「エントロピー(乱雑さ)」である。自発的な反応を考えるにあたっては、乱雑さ(エントロピー)を考慮する必要がある。 3 エントロピー変化量 エントロピー変化量(ΔS)は、以下の式で表される。 ただし、qは流入した熱、Tは絶対温度とする。この式より、流入した熱が大きほど、乱雑さの変化量は大きくなり、温度が低いときほど乱雑さの変化量が大きくなる。 1)様々な物理過程に伴うエントロピー変化量 ①→ Read More

エンタルピー

エンタルピー 1 エンタルピー エンタルピーHは、定圧条件における熱qの出入り(発熱反応、吸熱反応)を判断するために導入された概念であり、以下の示す式で定義されている。 H=U+p・V (U:内部エネルギー、p:圧力、V:体積) 2 発熱反応、吸熱反応 発熱反応、吸熱反応については、熱の出入りにより判断することができる。 発熱反応:系から熱が放出される反応(qがマイナス:q<0) 吸熱反応:系に熱が流入する反応(qがプラス:q>0) 発熱反応、吸熱反応であるかを判断するにあたっては、経路関数である熱を確認する必要があり、かなり大変な作業となる。そこで熱の出入りを状態量から確認する方法が考えられた。以下に定容条件、定圧条件における熱の出入り(発熱反応、吸熱反応)について記載する。 1)定容条件  定容条件では、体積変化がない(ΔV=0)ため、内部エネルギーの変化量は以下の式で表される。 ΔU=q+w=q-p・ΔV=q+0=q 上記より、定容条件では、ΔUを確認することにより、熱qの出入り(発熱反応、吸熱反応)を確認することが可能となる。 2)定圧条件  定圧条件では、体積変化による仕事を考慮する必要があるため、内部エネルギーの変化量は以下の式で表される。 ΔU=q+w=q-p・ΔV また、定圧条件におけるエンタルピー変化量(ΔH)は、以下の式で表せれ、 ΔH=ΔU+p・ΔV ΔUがq-p・ΔVであることから、以下のように変換することができる。    ΔH=ΔU+p・ΔV=q-p・ΔV+p・ΔV=q 上記より、定圧条件では、ΔHを確認することにより、熱qの出入り(吸熱反応、発熱反応)を確認することが可能となる。 <参考:ΔHと発熱、吸熱反応について> 薬学における反応や生体内での反応は、ほとんどが定圧過程(定圧条件)で起こると考えることができるため、エンタルピー変化量(ΔH)を確認することにより、その反応が発熱反応であるか、吸熱反応であるか判断することができる。 問題文に定圧条件において、ΔHがマイナス(-)で与えられている場合は、熱の放出が伴う「発熱反応」、ΔHがプラス(+)で与えられている場合は、熱の吸収が伴う「吸熱反応」であると判断することができる。 → Read More

定容熱容量、定圧熱容量

定容熱容量、定圧熱容量 1 熱容量と比熱 熱容量C(単位:J・K-1)とは、系の温度を1K上昇させるのに必要な熱であり、熱qを変化した温度ΔTで割ることにより求められる。 一般に熱容量は、モル熱容量(1molの物質の温度を1K上昇させるのに必要な熱:J・K-1・mol-1)で表される。また、モル熱容量に近い指標として、比熱(1gの物質の温度を1K上昇させるのに必要な熱:J・K-1・g-1)がある。 2 定容熱容量、定圧熱容量 定容熱容量(CV)とは、体積変化が伴わない場合おいて、系の温度を1K上昇させるのに必要な熱のことである。また、体積変化が伴わない場合において、1molの物質の温度を1K上昇させるのに必要な熱を定容モル熱容量(CV、m)といい、以下の式で表される。 定圧熱容量(Cp)とは、圧力一定の場合おいて、系の温度を1K上昇させるのに必要な熱のことである。また、圧力一定の場合において、1molの物質の温度を1K上昇させるのに必要な熱を定圧モル熱容量(Cp、m)といい、以下の式で表される。 Cp、m=CV、m+R <参考:定容熱容量と定圧熱容量の関係> 定容熱容量<定圧熱容量となる。その理由として、定圧過程では温度上昇に伴い、体積変化が伴い、1K温度を上昇させるために体積変化(膨張)に熱が必要となる。このことから、定圧過程では定容過程に比べ、その分、多くの熱が必要となる。 → Read More

定圧過程、定容過程、等温過程、断熱過程

定圧過程、定容過程、等温過程、断熱過程 1 定圧過程 定圧過程とは、圧力変化がない過程のことである。定圧過程においては、定容過程(体積変化がない過程)と異なり、体積変化を考慮する必要がある。そのため、熱力学第一法則より内部エネルギー変化量は、以下の式で表される。 ΔU=q+w=q-p・ΔV 2 定容過程 定容過程とは、体積変化がない過程のことである。定容過程では、体積変化がないため、ΔV=0となり、仕事は、w=-p・ΔV=0となる。そのため、熱力学第一法則より内部エネルギー変化量は、以下の式で表される。 ΔU=q+w=q+0=q 3 等温過程 等温過程とは、温度変化がない過程のことである。内部エネルギーは温度に依存して変化することから、等温過程において内部エネルギーの変化量(ΔU)は0であると考えられる。このことから、熱力学第一法則より以下のように考えられる。「ΔU=q+w」のΔUに0を代入すると、「0=q+w」となり、q=-wが成立する。よって、等温過程においては、流入した熱は、すべて仕事に変換することができると考えられる。 4 断熱過程 断熱過程とは、熱の流入および流出がない過程のことである。断熱過程では、熱の流入および流出がないため、熱力学第一法則より以下のように考えられる。 ΔU=q+w=q-p・ΔV=0-p・ΔV=-p・ΔV 上記の式より、断熱過程では、内部エネルギーの変化量は体積変化(ΔV)により決定されると考えられる。 → Read More