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第103回薬剤師国家試験 問218〜219(実践問題) 経口腸管洗浄剤

50歳男性。糖尿病(グリメピリド錠にて加療中)。10年前にS状結腸がんⅠ期T1軽度浸潤と診断され、内視鏡的粘膜切除術(EMR)を受けた。定期検診のため、かかりつけ医を受診し、以下の投薬指示が出された。
(投薬)
経口腸管洗浄剤(注)1袋(1袋を水に溶解して約2 Lとし、溶解液とする)
前日21時より絶食し、検査当日7時より溶解液2 Lを1時間あたり約1 Lの速度で経口投与。
注:1袋を水に溶解して2 Lとした溶解液の電解質濃度はNa125mEq/L、K10 mEq/L、Cl35 mEq/L、HCO320 mEq/L、SO280 mEq/L である。pHは約8.0、浸透圧比は約1である。

問218 (物理・化学・生物)
この経口腸管洗浄剤は等張な電解質溶液であり、大腸の機能を利用した薬剤である。大腸の機能に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 大腸の粘膜には絨毛があり、そこから栄養の吸収が行われる。
  2. 大腸では水は吸収されるが、電解質は吸収されない。
  3. 結腸粘膜での水の吸収は、Naの能動輸送で生じる浸透圧差により起こる。
  4. 大腸の運動は、副交感神経の興奮により抑制される。
  5. 大腸の内容物の肛門側への移送には、ぜん動運動が関わる。

解答・解説

解答
3、5

解説
1 誤
大腸の粘膜には絨毛はない。大腸粘膜において、電解質や水分の吸収は行われるが栄養の吸収は行われない。なお、設問の記述は小腸に関する記述である。

2 誤
解説1参照

3 正
結腸粘膜では、Naが能動輸送されることにより、体液と腸管内容液との間で浸透圧差が生じ、水の再吸収が促進される。

4 誤
副交感神経の興奮により大腸運動が促進される。

5 正

問219 (実務)
この経口洗浄剤を服用するにあたり、患者に対して薬剤師が服薬指導する内容として適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 可能であるならば、1時間あたり2 Lの速度で服用してもかまいません。
  2. 服用しにくい場合でも、他の飲料水と一緒に服用しないでください。
  3. 2 Lの溶解液が多いと感じる場合、1袋を水に溶解して約1 Lとし、服用してもかまいません。
  4. 服用中に腹痛の症状が現れた場合には、服用を中止し、ただちに受診してください。
  5. グリメピリド錠は、本剤と同時に服用してもかまいません。

解答・解説

解答
2、4

解説
1 誤
本剤を短時間で投与することにより、まれに腸管穿孔、腸閉塞、虚血性大腸炎及びマロリー・ワイス症候群(食道と胃の境目の部分が傷つき、粘膜が縦に避けて出血してしまう状態)を起こすことがあるため、本剤は1時間当たり1 Lをめどに投与する必要がある。

2 正
他の飲料水と一緒に服用すると、浸透圧や電解質濃度が変化したり、腸内細菌により可燃性ガスが発生する可能性があるため、本剤と他の飲料水を同時に摂取することは避ける必要がある。

3 誤
溶解液の量を少なくすると、浸透圧や電解質濃度が高くなり、腸管穿孔、腸閉塞、虚血性大腸炎及びマロリー・ワイス症候群を起こすことがあるため、1袋を水に溶解して約2 Lとし、服用する必要がある。

4 正

5 誤
糖尿病用薬(グリメピリド錠など)を投与中の患者への投与については、検査前日の本剤の投与は避け、検査当日に十分に観察しながら本剤を投与すること。また、糖尿病用薬の投与は検査当日の食事摂取後より行うこととされている。(理由:食事制限により低血糖を起こすことがある。)

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