78歳女性。高血圧症とパーキンソン病で処方1を服用していた。パーキンソン病症状のコントロールが困難になったため、新たに処方2が追加された。
問208 (実務)
本症例において処方2が追加された原因として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- ウェアリング・オフ
- ジスキネジア
- 悪性症候群
- 動悸
- 異常興奮
解答・解説
解答
1
解説
本患者はパーキンソン病を治療するため、レボドパ・カルビドパ配合錠を服用していたが、コントロールが困難なため、MAOB阻害薬であるセレギリン塩酸塩錠が追加投与されていることから、処方2が追加された原因として最も適切なのはウェアリング・オフであると考えられる。
<参考:ウェアリング・オフ現象が現れた場合の対処法>
・レボドパの服用量や服用回数を増やす。
・COMT阻害薬であるエンタカポンとレボドパを併用し、レボドパの効果を長続きさせる。
・MAOB阻害薬であるセレギリンなどを併用し、レボドパの効果を長続きさせる。
・レボドバ製剤にプラミペキソールなどのドパミンアゴニストを追加投与する。
問209 (物理・化学・生物)
以下に示すA〜Cはセレギリン、レボドパ又はカルビドパのいずれかである。これらの医薬品に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- AとCは、同じ標的分子の別の部位に結合することにより、代謝反応によるドパミンの分解を阻害する。
- Bは、生体内でドパミンに変化することによって活性を発現するプロドラッグである。
- Bは、脳内で芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素による代謝を受ける。
- Cは、一置換ヒドラゾン構造をもつ。
- Cは、Bと同様に血液脳関門を通過しやすい。
解答・解説
解答
2、3
解説
A〜Cの構造式について以下に示す。
A:セレギリン
セレギリンは血液脳関門を通過し、中枢内でMAOBを選択的に阻害する。それによりドパミンの分解が抑制され、ドパミンの作用が増強する。
B:レボドパ
レボドパはプロドラッグであり、アミントランスポーターにより血液脳関門を通過し、脳内で芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素による代謝を受けドパミンとなり作用する。
C:カルビドパ
カルビドパは末梢で芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素を阻害し、レボドパの分解を抑制する。それによりレボドパの脳内移行量が増大し、レボドパの作用が増強する。
1 誤
A(セレギリン)とC(カルビドパ)は、レボドパの分解を阻害するが、それぞれ異なる標的分子に働く。
セレギリンの標的分子:MAOB
カルビドパの標的分子:芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素
2 正
3 正
4 誤
Cは構造中に一置換ヒドラジン構造を有する。
5 誤
Cは、血液脳関門を通過しにくいことから、末梢で作用を示す。
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