0 原子の成り立ちとその特徴

原子

物質の最小単位を原子という。原子は、原子核と電子で構成されており、原子核は正電荷をもつ陽子と電荷を持たない中性子で構成されている。原子は、陽子の数により番号が振り分けられており、その番号を原子番号という。また、原子には質量があり、その質量を質量数で表す。原子の質量についてはほとんどが陽子と中性子の数によって決定されることから、質量数は陽子の数と中性子の数の和で表される。

<参考:質量数について>
原子は、陽子、中性子、電子で構成されているが、その質量については、陽子と中性子の和で表されます。その理由として、電子については、陽子や中性子に比べ質量がごく微量であるからとされている。


原子軌道の種類 

1)原子軌道と量子数
原子軌道を特定するためには、三つの量子数を指定する必要がある。それら量子数を以下に示す。

(1)主量子数n
主量子数nは、電子殻を表す。
n=1:K殻、n=2:L殻、n=3:M殻、n=4:N殻 …
核に近い殻をK殻とし、核から遠ざかるごとにL殻→M殻→N殻→となる。
殻には、最大2×n2の電子が収容される。

(2)方位量子数l
方位量子数lは、軌道の形を表す。
l=0:s軌道(球対称)
l=1:p軌道(軸対称)
l=2:d軌道

(3)磁気量子数m
磁気量子数mは、軌道の方向を表す。
s軌道:m=0(軌道の数:1個)
p軌道:m=-1、0、+1(軌道の数:3個)
d軌道:m=-2、-1、0、+1、+2(軌道の数:5個)

<参考:方位量子数lと磁気量子数m>


電子のスピン

1)電子のスピン
電子のスピンとは、電子の自動運動であり、不対電子を有する原子・分子において認められる。
原子のもつ軌道電子状態は、主量子数n、方位量子数l、磁気量子数mによって決まっているが、これら3つの指標だけでは、核や電子のスピン状態をとらえ、解釈することは難しい。そこでスピン量子数を導入する必要がある。


パウリの排他原理、フント則

1)パウリの排他原理
パウリの排他原理とは、原子中の電子はそれぞれ主量子数n、方位量子数l、磁気量子数m、スピン量子数msが異なるという原理である。要は、原子中に同じ状態の電子は存在しないことを表している。このことから、「1つの軌道には、電子を2個まで収容でき、電子が2個収容される場合には、それぞれのスピンは逆向きである。」といえる。

パウリの排他原理については、原子中に同じ状態の電子が存在しないことを表している。このことから、「1つの軌道には、電子を2個まで収容でき、電子が2個収容される場合には、それぞれのスピンは逆向きである。」とされているが、なぜ、そのようなことが言えるのかについては以下の図より確認することができる。

①の場合、同じ軌道に同じ方向の電子が収容されている
→n、l、m、msが同じ電子が存在する。
②の場合、同じ軌道に異なる方向の電子が収容されている
→n、l、mが同じで、msが異なる電子が存在する。
③の場合、同じ軌道に同じ方向の電子と異なる方向の電子が存在する
→n、l、m、msが同じ電子が存在する。

①、②、③のうち、パウリの排他原理が成立するのは、②の場合だけであることから、「1つの軌道には、スピンを逆向きにして、電子を2個まで収容できる。」となる。

2)フントの規則
フントの規則とは、同じエネルギーをもつ複数の軌道があれば、電子はそれらの軌道に1個ずつスピンを平行にして入るとき安定な電子配置が得られることを表している。


多電子原子のエネルギー準位と電子配置

1)軌道のエネルギー準位
 軌道のエネルギー準位は、主量子数、方位量子数に依存し、その順番は、下記のようになっている。
 1s<2s<2p<3s<3p<4s<3d<4p<5s …

2)原子の電子配置
ここでは、基底状態における酸素原子を例にその電子配置について確認する。
例)酸素原子の電子配置(数字については、電子の収容の順番を示している。)

基底状態における原子の電子配置については以下のように考えることができる。
①:エネルギーの低い軌道から電子が配置される。
1s→2s→2p→…の順に電子が配置される。

②:同じエネルギーをもつ複数の軌道があれば、電子はそれらの軌道に1個ずつスピンを平行にして入る(フント則)。
2p軌道に電子が収容される際、2px、2py、2pzの順に同じ向きの電子が収容される。

③:1つの軌道には、電子を2個まで収容でき、電子が2個収容される場合には、それぞれのスピンを逆向きである(パウリの排他原理)。
 1s軌道に電子が逆向きで2個収容されたあと、2s軌道に電子が収容される。


元素の周期的性質

周期表はよく似た性質をもつ元素が周期的に現れることを表している。周期性の決定因子は、価電子を収容する最外殻の電子配置である。周期性は、価電子の軌道がd軌道やf軌道とする遷移元素に比べ、s軌道やp軌道とする典型元素で強く現れる。

遷移元素:周期表の3〜11族に属する元素
典型元素:周期表の1、2族または12〜18族に属する元素

<参考:元素の諸性質について>

(1)イオン化エネルギー
イオン化エネルギーとは、電子を原子から完全に引き離して1価の陽イオンにするために必要なエネルギーのことであり、小さいほど、陽イオンになりやすい。一般に周期表の右上ほどイオン化エネルギーは大きい。

(2)電子親和力
電子親和力とは、電子を原子に付加して陰イオンにするときに放出されるエネルギーのことであり、大きいほど、陰イオンになりやすい。一般に周期表の右上ほど大きい。

(3)電気陰性度
電気陰性度とは、化学結合する2原子間の共有電子対を自らの原子に引き寄せる能力のことであり、原子半径が小さいと電気陰性度は大きい。一般に周期表の右上ほど大きい。

(4)原子半径
原子半径は原子の大きさの目安となる。一般に周期表の左下ほど大きい。


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