60歳男性。5年前に肝硬変と診断され、1年前から腹水が認められるようになった。3日前から、軽度の意識障害を認めるようになったため来院した。来院時、診察所見として、羽ばたき振戦を認めた。この患者において、意識障害の軽減が期待できる経口製剤はどれか。2つ選べ。
- ランソプラゾール錠
- スピロノラクトン錠
- カナマイシン一硫酸塩カプセル
- ウルソデオキシコール酸錠
- ラクツロースシロップ
60歳男性。5年前に肝硬変と診断され、1年前から腹水が認められるようになった。3日前から、軽度の意識障害を認めるようになったため来院した。来院時、診察所見として、羽ばたき振戦を認めた。この患者において、意識障害の軽減が期待できる経口製剤はどれか。2つ選べ。
解答 解説 2 誤 3 正 4 誤 5 正解答・解説
3、5
本症例では、肝硬変により軽度の意識障害、羽ばたき振戦を認めていることから、肝性脳症を引き起こしていると考えられる。肝性脳症による意識障害を軽減するためには、高アンモニア血症の改善やFisher比の是正を行えばよい。選択肢のうち、肝性脳症の意識障害を軽減するために用いられる薬物は、カナマイシン一硫酸塩カプセルとラクツロースシロップである。それぞれの作用を以下に示す。
・カナマイシン一硫酸塩は、NH3産生菌を抑制して高アンモニア血症を改善する。
・ラクツロースは腸管内で有機酸に分解されて腸管内pHを低下させ、アンモニアの生産・吸収を抑制して高アンモニア血症を改善する。
1 誤
ランソプラゾールはプロトンポンプ阻害薬であり、胃潰瘍、十二指腸潰瘍等の治療に用いられる。
スピロノラクトンはカリウム保持性利尿薬であり、肝性浮腫等の治療に用いられる。
ウルソデオキシコール酸は肝庇護薬であり、慢性肝炎時の肝機能改善に用いられる。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 第99回 問184 […]