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第98回薬剤師国家試験 問298〜299(実践問題) 治験

既存の降圧薬Xを対照とした新規降圧薬Yの非劣性を検討する治験を実施することになった。

問298 (病態)
YがXに対して非劣性であると結論づけられるケースとして、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. Xと比較してYの血圧低下幅が、統計的に有意に大きかった。
  2. XとYとの間で、血圧低下幅に統計的に有意な差が認められなかった。
  3. 5 mmHgの差を許容しうる下限同等限界として試験を行った結果、XよりYの方が血圧低下幅が小さかったが、その差は統計的に5 mmHgより有意に小さかった。
  4. 投与前と比較してXは危険率5%未満、Yは危険率1%未満でいずれも統計的に有意に血圧を低下させた。
  5. XとYの血圧低下幅の母平均の比が0.80〜1.25の範囲にあった。

解答・解説

解答
1、3

解説
1 正
Xと比較してYの血圧低下幅が統計的に有意に大きい場合、YはXよりも劣っていない(非劣性である)といえる。

2 誤
XとYとの間で、血圧低下幅に統計的に有意な差が認められなかった場合、YはXよりも劣っていない(非劣性である)とはいえない。

3 正
本設問のような非劣性試験では、あらかじめ下限同等限界(定められた範囲内では差がないとされる値)を定めて試験を行うことがある。XよりYの方が血圧低下幅が小さかったが、その差な統計的に下限同等限界(本設問では5 mmHg)より有意に小さいため、YとXは同等である(YはXよりも劣っていない(非劣性である))といえる。

4 誤
危険率とは、有意水準ともいわれ、検定によって得られた情報の精度を表す指標である。危険率よりXに比べYが劣っているかいないかを判定することはできない。また、投与前と比較した治験内容からXに比べYが劣っているかいないかを判定することはできない。

5 誤
試験製剤と対照製剤の母平均の比が0.80〜1.20のときは同等であるとみなしてもよい。本設問では母平均の比が0.80〜1.25であることからYはXよりも劣っていない(非劣性である)とはいえない。

問299 (薬剤)
この治験を院内で実施するに当たり以下の対応をした。適当なのはどれか。2つ選べ。

  1. 治験審査委員会において、倫理的、科学的観点から治験の実施の適否に関する審査を行った。
  2. 治験審査委員会における審査を、病院長を含む5名以上に依頼した。
  3. 治験薬管理者として、治験責任医師を指名した。
  4. 被験者に対して治験内容の説明を文書で渡すとともに平易な言葉で行い、同意を文書で得た。
  5. 治験が中止となったので、この治験に関する記録を直ちに破棄した。

解答・解説

解答
1、4

解説
1 正
治験審査委員会は、倫理的、科学的観点から治験の実施の適否について調査審議を行う。

2 誤
実施医療機関の病院長は、治験審査委員会の委員になることはできない。

3 誤
治験責任医師は、治験薬管理者になることはできない。なお、治験薬管理者には、原則として薬剤師が選任される。

4 正
治験責任医または分担医は、被験者に対して治験内容の説明を文書で渡すとともに平易な言葉で行い、同意を文書で得る必要がある。

5 誤
治験に関する記録は
・被検薬にかかわる医薬品についての製造販売の承認を受ける日
・治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日
のうち、いずれか遅い日までの期間保存しなければならない。

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