55歳男性。体重60kg。クレアチニンクリアランス40 mL/min。ヘルペス脳炎のため、以下の処方が出された。
問264 (薬理)
アシクロビルに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 抗ウイルス作用発現には、感染細胞内でのウイルス由来のチミジンキナーゼによるリン酸化が必要である。
- 生体内でバラシクロビルに変換され、抗ウイルス活性を示す。
- 単純ヘルペスウイルス(HSV)1型の増殖を抑制するが、HSV2型の増殖は抑制しない。
- 活性化体に変換されてdGTPと競合し、ウイルスのDNA合成を阻害する。
解答・解説
解答
1、4
解説
1 正
本剤は、ヘルペス群ウイルス感染細胞内でウイルス誘導のチミジンキナーゼによりリン酸化されて、活性型のアシクロビル三リン酸となる。活性型のアシクロビル三リン酸はdGTPと競合し、ウイルスDNAポリメラーゼを阻害することによりウイルスDNAの合成を阻害する。
2 誤
解説1参照。
なお、バラシクロビルは、アシクロビルのプロドラッグであり、肝初回通過効果過程でアシクロビルに変換され効果を示す。
3 誤
本剤はHSV1型及びHSV2型の増殖を抑制する。
4 正
解説1参照
問265 (実務)
医療スタッフに対する薬剤の情報提供として、適切でないのはどれか。1つ選べ。
- アナフィラキシーショックが現れる場合がある。
- 減量や投与間隔の延長を考慮する必要はない。
- 意識障害(昏睡)、せん妄などの精神神経症状が現れる場合がある。
- 汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少、播種性血管内凝固症候群が現れる場合がある。
- HSVの増殖を抑制するため、速やかに投与を開始することが重要である。
解答・解説
解答
2
解説
1 適切
アシクロビルは、重大な副作用として、アナフィラキシーショック、汎血球減少症、無顆粒球症、血小板減少症、播種性血管内凝固症候群、急性腎不全、精神神経症状、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、間質性肺炎などを起こすことがある。
2 不適切
アシクロビルは腎消失型薬物であるため、本患者(クレアチニンクリアランスが低値を示している)のような腎機能が低下している患者に対しては投与量を減らすことや投与間隔を延長することを考慮する必要がある。
3 適切
解説1参照
4 適切
解説1参照
5 適切
本剤は、HSV増殖初期に近いほど効果が高いことが認められているため、HSVの増殖による症状が現れている場合には、すみやかに本剤を投与することが重要である。
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[…] 第98回 問264〜265 […]