64歳男性。高血圧症と診断された。シュウ酸カルシウム結石による激痛を経験し、再発を恐れている。この患者の高血圧を利尿薬で治療するにあたり、医師からの求めに応じて、適切な薬剤の選択と結石の再発予防のための注意点について情報を提供した。
問206 (実務)
提供すべき情報のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- シュウ酸カルシウム結石の予防作用を併せ持つ降圧利尿薬として、アセタゾラミドが適している。
- シュウ酸カルシウム結石の予防作用を併せ持つ降圧利尿薬として、ヒドロクロロチアジドが適している。
- シュウ酸カルシウム結石の予防薬として、尿中でシュウ酸カルシウムと可溶性の複合体を形成するマグネシウム製剤が有効である。
- シュウ酸を多く含む食品の摂取は、シュウ酸カルシウム結石を誘発するので避けるべきである。
- カルシウムを多く含む食品は、シュウ酸の吸収を抑えるので摂取してもかまわない。
解答・解説
解答
1
動画解説
解説
1 誤っている
アセタゾラミドの服用により、尿中のカルシウム濃度が上昇するため、シュウ酸カルシウム結石を誘発することがある。よって、シュウ酸カルシウム結石を誘発している患者にアセタゾラミドは適していない。
2 正しい
ヒドロクロロチアジドの服用により、尿中のカルシウム濃度が低下するため、シュウ酸カルシウム結石を予防することが可能である。よって、シュウ酸カルシウム結石を誘発している患者にヒドロクロロチアジドは適している。
3 正しい
マグネシウム製剤は、尿中でシュウ酸カルシウムと可溶性の複合体を形成するため、シュウ酸カルシウム結石を予防することが可能である。
4 正しい
シュウ酸を多く含む食品(ほうれん草など)を摂取することにより、尿中のシュウ酸濃度が上昇するため、シュウ酸カルシウム結石を誘発することがある。
5 正しい
カルシウムは腸管内でシュウ酸と結合し、シュウ酸の吸収を抑制するため、カルシウムを多く含む食品を摂取することにより、シュウ酸カルシウム結石を予防することが可能である。
問207 (物理・化学・生物)
尿路結石にはシュウ酸カルシウム結石のほかに、リン酸カルシウム結石、シスチン結石などがある。結石の構成成分の化学的性質に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
- シュウ酸カルシウムを希硫酸に溶解させると、二酸化炭素を発生し分解する。
- シュウ酸イオンは2座配位子として金属に配位し、キレートを形成する。
- 日本薬局方のpH測定法で規定されるリン酸塩pH標準液のpH値は、シュウ酸塩pH標準液のpH値よりも小さい。
- シスチンを酸化するとシステインが生成する。
解答・解説
解答
2
解説
1 誤
シュウ酸カルシウムを希硫酸に溶解させると、シュウ酸と硫酸カルシウムが生成する。
CaC2O4+H2SO4 → H2C2O4+CaSO4
2 正
シュウ酸イオンは、カルボキシラートイオン(−COO-)を2つ有し、金属イオンに対して、配位結合を2本形成することが可能である。よって、シュウ酸イオンは2座配位子として金属に配位し、キレートを形成する。
3 誤
pH標準液とは、日本薬局方一般試験法のpH測定法において、pHの基準として用いられるものであり、リン酸塩pH標準液のpH値(20℃のおいて、pH=6.88)は、シュウ酸塩pH標準液のpH値(20℃において、pH=1.68)よりも大きい。
4 誤
シスチンは、システイン2分子がジスルフィド結合することにより形成される。シスチンを還元すると、ジスルフィド結合が切れて、2分子のシステインが生成する。
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