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第88回薬剤師国家試験 問54(基礎薬学) 遺伝子工学

 遺伝子工学に関する記述のうち、誤っているのはどれか。2つ選べ。

  1. 制限酵素は、DNA上の特定な塩基配列を認識して、二本鎖を切断する。
  2. 外来遺伝子を組み込むベクターとして、ファージが利用される場合がある。
  3. pBR 322は、約4,000,000塩基対からなる環状構造を持つプラスミドDNAである。
  4. クローニングベクター上の薬剤耐性マーカーは、遺伝子が導入された菌を導入されていない菌と選別するのに用いられる。
  5. ヒトの遺伝子を大腸菌で発現させると、ヒトと大腸菌との間で遺伝暗号が異なるので、アミノ酸配列がヒトとは全く異なったタンパク質が合成される。

解答・解説

解答
3、5

解説
1 正しい
 制限酵素とは、二本DNAの特定の塩基配列を認識して、ホスホジエステル結合を特異的な箇所で切断するエンドヌクレアーゼのことである。

2 正しい
 ベクターとは、目的DNA断片を組み込んだ自律複製できるDNAのことである。外来遺伝子を組み込むベクターとして、ファージ(細菌ウイルス)、プラスミド(宿主染色体とは独立して自己複製する染色体外遺伝子)が用いられる。

3 誤っている
 pBR322は、約4,500塩基対からなる環状プラスミドベクターであり、テトラサイクリン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子を有する。

4 正しい
 クローニングベクター上の薬剤耐性マーカーは、遺伝子が導入された菌を導入されていない菌と選別するのに用いられる。その例として、抗菌薬耐性遺伝子を有するベクターが用いられた場合、耐性遺伝子に目的遺伝子が挿入されたベクターを導入した菌は、抗菌薬に対する耐性が失われているため、抗菌薬を投与すると死滅するが、耐性遺伝子に目的遺伝子が挿入されていないベクターを導入した菌は、抗菌薬に対する耐性を示すため、抗菌薬を投与しても死滅しない。この原理を用いることで、遺伝子が導入された菌を導入されていない菌と選別することが可能である。

5 誤っている
 大腸菌とヒトでは、アミノ酸をコードするコドン(遺伝暗号)が同一であるため、ヒトの遺伝子を大腸菌で発現させても同一のアミノ酸配列を有するタンパク質が合成される。 

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