85歳男性。中等度の認知症及び高血圧症の治療中。部屋の中ではつたい歩きができるが、活動量が低下し、家に引きこもりがちである。今回、腰痛を訴え整形外科を受診したところ、骨粗しょう症と診断された。整形外科受診時の検査値、現在服用中の薬剤は以下のとおりである。なお、肝機能に異常はない。
問218(実務)
この患者の骨粗しょう症治療に用いる薬剤として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- アレンドロン酸錠
- ブシラミン錠
- ラロキシフェン塩酸塩錠
- L-アスパラギン酸Ca錠
- エルデカルシトールカプセル
解答・解説
解答
1、5
解説
本患者は骨粗しょう症と診断され、薬物治療をすることとなった。薬剤の適応症、性別、身体所見及び検査値より適切な治療薬を選択する必要がある。ブシラミン(選択肢2)は、関節リウマチの治療薬であるため、骨粗しょう症の治療に用いられない。また、ラロキシフェン塩酸塩(選択肢3)の適応症は、閉経後骨粗鬆症であるため、男性に用いられない。本患者のCa濃度は基準値範囲内にあるため、L-アスパラギン酸Ca錠(選択肢4)も用いられない。
これらのことから、ビスホスホネート製剤であるアレンドロン酸(選択肢1)と活性型ビタミンD製剤であるエルデカルシトール(選択肢5)を選択することが適切である。
問219(物理・化学・生物)
本患者が血液検査で測定した25-ヒドロキシビタミンDに含まれる25(OH)ビタミンD3は、下図に示すように、プロビタミンD3から反応A、Bを経て作られ、反応CDで代謝される。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- プロビタミンD3は、生体内で合成されない。
- 紫外線を浴びた皮膚で進行する反応は、Bである。
- 副甲状腺ホルモン(パラトルモン)によって促進される反応は、Dである。
- 活性型ビタミンD3は、25(OH)ビタミンD3である。
- 活性型ビタミンD3は、最終的に腎臓で生成される。
解答・解説
解答
3、5
解説
1 誤
生体内では、アセチルCoAからコレステロールが合成される際の中間体としてプロビタミンD3(7-デヒドロコレステロール)が合成される。
2 誤
7-ヒドロコレステロールに紫外線が照射されると、ビタミンD3(コレカルシフェロール)が合成される。よって、紫外線を浴びた皮膚で進行する反応は、Aである。
3 正
副甲状腺ホルモン(パラトルモン)は、腎臓での25(OH)ビタミンD3の水酸化を促進することでビタミンD3を活性化し、血中カルシウム濃度の上昇に関与する。
4 誤
活性型ビタミンD3は、1,25(OH)2ビタミンD3である。
5 正
25(OH)ビタミンD3は、最終的に腎臓で水酸化されることで活性型ビタミンD3となる。
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