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第107回薬剤師国家試験 問208〜209(実践問題) コレスチミド

45歳男性。喫煙歴20年(1日20本)。20歳代前半から血清コレステロールの高値を指摘されていたが、未治療のまま放置していた。男性は、会社の健康診断でLDL–C値が220mg/dLであると指摘され、年齢のことも考慮し近医を受診した。家族性高コレステロール血症と診断され、医師や薬剤師による生活習慣指導及び処方1による薬物治療が6ヶ月継続された。しかし、LDL–C値が管理目標まで下がらなかったため、本日の診察で薬剤の追加が検討された。生化学検査の結果、AST、ALT、総ビリルビンが高値を示し肝障害が疑われたため、処方2が追加された。なお、アドヒアランスは良好である。

(本日の検査値)
血圧 122/74mmHg、LDL–C 130mg/dL、HDL–C 40mg/dL、
TG(トリグリセリド)100mg/dL、AST 120IU/L、ALT 125IU/L、総ビリルビン 2.0mg/dL、HbA1c 5.5%(NGSP値)

問 208(実務)
生活習慣指導及び服薬指導の内容として、適切でないのはどれか。1つ選べ。

  1. 薬物治療だけでなく、禁煙することも重要です。
  2. 無酸素運動を中心に、毎日運動することが推奨されています。
  3. 家族性高コレステロール血症のLDL–C管理目標は、高LDLコレステロール血症の一次予防の目標より低く設定されています。
  4. お腹の痛みや張りを感じたときは、すぐに処方医又は薬剤師に連絡してください。
  5. 今回追加された薬剤は、脂溶性ビタミンの吸収を低下させる可能性があります。

解答・解説

解答

解説
1 正しい
 脂質異常症では動脈硬化が進行するため、禁煙することも重要である。

2 誤っている
 脂質異常症の運動療法では、有酸素運動を中心に定期的に運動することが推奨される。

3 正しい
 高LDLコレステロール血症の一次予防の目標値は、低リスクで160 mg/dL未満、中リスクで140 mg/dL未満、高リスクで120 mg/dL未満とされている。それに対して家族性高コレステロール血症では、極めて冠動脈疾患のリスクが高いため、LDLコレステロールの管理目標は、一次予防患者では100mg/dL未満、二次予防患者では70mg/dL未満である。  

4 正しい
コレスチミドは重大な副作用として、腸管穿孔、腸閉塞が現れることがあるため、お腹の痛みや張りを感じた時は、すぐに処方医、薬剤師に連絡する必要がある。

5 正しい
コレスチミドは、陰イオン交換樹脂であり胆汁酸の吸収を阻害するため、胆汁酸により吸収が促進される脂溶性ビタミンの吸収を低下させる可能性がある。

問209(物理・化学・生物)
 コレスチミドは腸管において、胆汁酸であるタウロコール酸の再吸収を阻害し、肝におけるコレステロールから胆汁酸への異化を促進する。タウロコール酸の再吸収が阻害される機序に関する記述として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

  1. コレスチミドを触媒としてタウロコール酸が分解される。
  2. コレスチミドのヒドロキシ基とタウロコール酸のヒドロキシ基との間に水素結合が形成される。
  3. コレスチミドのカチオンとタウロコール酸のイオン化したスルホ基との間にイオン結合が形成される。
  4. コレスチミドのヒドロキシ基とタウロコール酸のスルホ基との間に水素結合が形成される。
  5. コレスチミどのヒドロキシ基とタウロコール酸のスルホ基がエステル結合を形成する。

解答・解説

解答

解説
コレスチミドは陰イオン交換樹脂であり、分子内のイミダゾール部分がカチオン(+イオン)となっているため、コレスチミドのカチオンと胆汁酸のタウロコール酸の陰イオン化したスルホ基(SO3)との間にイオン結合が形成され、コレスチミドがタウロコール酸を吸着し、糞便中への排泄を促進する。

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