4 偏光と旋光性

平面偏光

光はあらゆる方向に周期的に振動している電磁波である。偏光板に単色光を通すと、特定方向に振動面を有する透過光のみを取り出すことができる。この透過光は光の伝播方向と同一平面上にあるので、その光を平面偏光という。


円偏光

円偏光には、右円偏光と左円偏光がある。右円偏光とは、光の進行方向から光源を眺めて時計回りの光であり、左円偏光とは、光の進行方向から光源を眺めて反時計回りの光のことである。
例えば、右円偏光では、時間とともに1→2→3→4の順に偏光面が変化していく。

平面偏光は、下記のように右円偏光と左円偏光のベクトルの和で表される。


旋光

平面偏光の偏光面が物質と相互作用を起こすことにより右あるいは左に回転することがあるこの現象を旋光という。旋光を示す物質の性質を旋光性または光学活性という。原則、キラル炭素を有する物質が旋光性や光学活性を示すが、それ以外の物質で旋光性、光学活性を示す物質(アレン誘導体、ビフェニル誘導体)も存在する。また、キラル炭素を有していても旋光を起こさない物質(ラセミ体、メソ体)も存在する。


比旋光度

平面偏光が光学活性物質を透過する際の旋光度(α)は、溶液の濃度(c)、透過距離(l)に比例する。また、濃度(g /mL)及び透過距離l(mm)当たりの旋光度を比旋光度として下記のように表すことができる。

[ ]の20は測定温度が20度であることを示しており、Dは測定に用いた光源がナトリウムスペクトルD線であることを示している。
例えば、医薬品各条の旋光度の項目に、[ ]=-30.0°〜-36.0°(乾燥後、1 g、水20 mL、100 mm)と規定されている場合は、その医薬品を乾燥し、その約1 gを精密に量り、水に溶かして正確に20 mLとし、この液につき、20℃、層長100 mmで旋光度を測定するとき、[ ]の範囲が -30.0°〜-36.0°であることを示している。


旋光分散

光学活性物質は、波長に関わらず旋光性を示し、波長により旋光度は変化する。この現象を旋光分散といい、波長に対する旋光度をプロットして得られる曲線を旋光分散曲線(ORD曲線)という。

<単純曲線>

<異常分散曲線>


円二色性(CD)

平面偏光が光学活性物質を通過する際、その吸収波長領域における左右円偏光のモル吸光係数に差が認められることがある。この現象を円偏光二色性または円二色性(CD)という。
媒質中での左右円偏光の速度(屈折率)が異なることに加え、モル吸光係数が異なれば、左右円偏光の透過光の合成ベクトルの軌跡は軸の傾いた楕円(楕円偏光)となる。


円二色性曲線(CDスペクトル)は、タンパク質の二次構造、核酸の立体構造、金属錯体の構造、有機化合物の立体配置などを決定するのに有用とされている。


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