麻疹ウイルス

麻疹ウイルスは、パラミクソウイルス科（Paramyxoviridae）に属するRNAウイルスである。このウイルスは、麻疹（はしか）と呼ばれる非常に感染力の強い感染症を引き起こす。

ウイルスの特徴

1. 遺伝子の種類：一本鎖のRNAウイルス
   • 遺伝情報はRNAとして存在し、宿主細胞内で増殖する。
2. 構造：
   • エンベロープ（脂質膜）で覆われた球状ウイルス。
3. 感染対象：
   • 人間のみ
4. 生存環境：
   • 外部環境では長時間生存できず、熱や紫外線、消毒薬に弱い。

感染メカニズム

1. 感染経路：麻疹ウイルスは飛沫感染や空気感染を通じて体内に侵入する。
2. 標的細胞：
   • ウイルスは最初に上気道の粘膜や肺の細胞に感染する。
   • その後、血液に侵入して全身へ広がり、皮膚や粘膜で増殖する。

ウイルスの特徴的な性質

• 感染力が非常に強い：免疫がない人が麻疹ウイルスに接触すると、90%以上の確率で感染する。
• 空気感染を引き起こす：感染者の咳やくしゃみで空気中に拡散し、広範囲に伝播する。
• 持続免疫：麻疹ウイルスに感染すると、通常一生涯にわたる免疫が得られる（再感染の可能性は非常に低い）。

麻疹ウイルスに関する注意点

• 予防接種の重要性：麻疹ウイルスに対するワクチン（MRワクチン）は、高い予防効果を有する。
• 流行時の対策：麻疹ウイルスは非常に感染力が強いため、流行時には迅速な対応が必要である。

麻疹ウイルスは、適切な予防接種によってほぼ完全に制御可能な病原体ですが、免疫のない人々の間では集団感染（アウトブレイク）を引き起こす危険性がある。そのため、感染予防のためのワクチン接種が推奨されている。