薬剤師国家試験出題項目

高分子の構造と高分子溶液の性質

Section2 高分子の構造と高分子溶液の性質

高分子とは、一般に分子量10,000以上の物質のことであり、タンパク質や核酸も高分子に該当する。高分子はその分子量の大きさより低分子と異なる性質を有する。

高分子は低分子と異なる性質を有することから、医薬品の製造や製剤化に広く用いられており、極めて重要な役割を担っている。

1 高分子の性質と構造

高分子を構成する低分子の原料をモノマー(単量体)という。モノマー(単量体)が化学反応により集合し巨大分子になることを重合といい、1高分子当たりの繰り返し単位数を重合度nという。 高分子の性質は、高分子を構成するモノマーの種類、比率、構造(直鎖状、分枝状など)による影響を受けて変化する。

2 高分子の分子量

高分子は低分子と異なり均一な分子量を有していないため、その分子量は平均分子量として表される。平均分子量には、数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwがあり、同程度の分子量の分子からなる系ではMn=Mwとなるが、一般にはMn<Mwとなることが多い。

2.1 高分子溶液の粘度と分子量

一般に高分子溶液の粘度は、同じ濃度を有する低分子溶液に比べ、高いことが知られている。溶液の粘性は、相対粘度、比粘度、還元粘度で評価される。

縦軸に還元粘度、横軸に濃度をプロットし、濃度0に対して外挿すると、縦軸切片より極限粘度を得ることができる。極限粘度は、下記の式で表すことができることから、極限粘度より高分子の分子量を予測することができる。

ただし、kおよびαについては溶媒あるいは高分子の種類、温度によって決まる定数とする。

3 高分子溶液の性質

高分子溶液は低分子溶液と異なり、非ニュートン流動を示すため、高分子溶液を用いた製剤を調製する際には、高分子溶液の物理化学的性質を十分に理解しておく必要がある。

3.1 高分子の溶解性に関わる因子

1)高分子の置換度

分子内にヒドロキシ基をもつセルロースやデンプンでは、グルコース残基1個あたり3個のヒドロキシ基を有する。このヒドロキシ基をエチル化してエチルセルロースにする場合、ヒドロキシ基をエチル基に置換できる数は0〜3の間となる。この置換できる数を置換度といい、水に対するエチルセルロースの溶解度は置換度により変化する。

2)高分子と溶媒の相性

高分子は同じ性質を有するものによく溶解する。高分子と相性の悪い溶媒を貧溶媒、相性のよい溶媒を良溶媒という。貧溶媒中において、高分子は集まり溶媒をはじき出そうとする。一方、良溶媒中において高分子は親和性の高い溶媒分子と結合し、伸びた形をとる。そのため、高分子を貧溶媒に溶かした場合と良溶媒に溶かした場合の粘度を比較すると、良溶媒に溶かした場合の方が粘度は高くなる。

3.2 高分子溶液の物理化学的性質

1)基本的性質

高分子を溶解すると、濃度の増大に伴い溶液の粘度も増大する。高分子は分子量が大きいため、同じ重量濃度の高分子溶液と低分子溶液を比較すると、高分子溶液の方がモル濃度が小さくなることから、浸透圧の増大、沸点上昇、凝固点降下などの束一的性質を示しにくいとされている。

2)相分離

高分子が溶解している溶液に貧溶媒を加えると、高分子の濃度が濃い相と高分子の濃度が薄い相の2相に分離することがある。この現象をコアセルベーションという。また、高分子溶液は、塩を添加することで2相分離を起こすことがあり、その現象を塩析という。

◇関連問題◇
第100回問175、第102回問173、第103回問176

 

 

 

-薬剤師国家試験出題項目

Copyright© yakugaku lab , 2020 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.