青酸配糖体は、青酸(シアン化物)を含む化合物で、通常、糖分子とシアン化物(CN-)を結びつけた構造を有する。これらの化合物は、植物において防御機構として存在し、外部の刺激や損傷を受けた際に分解され、青酸を放出する。青酸配糖体は、いくつかの異なる植物種に含まれており、特に有毒成分を持つことで知られている。
青酸配糖体の構造と種類
- 構造:
- 青酸配糖体は、一般的に糖分子(通常はグルコース)と青酸基(-CN)が結合した構造を持つ。青酸基は、通常、β-グルコースと結びついている。
- この青酸基は、酵素的または加水分解によって解放され、青酸を放出する。
- 代表的な青酸配糖体の種類:
- アミグダリン(杏仁やアーモンドの種子に含まれる)
青酸配糖体の生理的作用
青酸配糖体は、植物において有害な昆虫や動物からの攻撃に対する防御機構として働くことがある。青酸配糖体自体はほとんど無害であるが、以下のように加水分解されると有害な青酸(シアン化物)を放出することがある:
- 青酸の生成:
- 植物が損傷を受けると、青酸配糖体は酵素や酸によって加水分解され、青酸(シアン化物)を放出する。青酸は細胞の呼吸を妨げる毒性を持ち、細胞が酸素を利用するのを阻害する。
- 青酸の毒性:
- 青酸は、シトクロムcオキシダーゼ(細胞内の重要な酵素)を阻害し、呼吸鎖を阻害することによって、細胞の酸素利用を停止させる。この結果、細胞は酸素を使用できず、呼吸困難や最悪の場合は死に至ることがある。
青酸配糖体の分解と放出
青酸配糖体が含まれる植物を摂取すると、消化過程で青酸を放出する可能性がある。青酸配糖体が分解されるメカニズムは以下の通り:
- 酵素による分解:
- 植物内の青酸配糖体は、グルコシダーゼやシアナターゼという酵素によって分解され、青酸と糖に分解される。この過程は、植物が外部の損傷に応じて発生する防御反応として働く。
青酸配糖体の解毒
青酸中毒を防ぐために、特定の酵素や解毒剤が使われることがある。
青酸の解毒薬として、チオ硫酸ナトリウム、亜硝酸アミル、亜硝酸ナトリウム、ヒドロキソコバラミンが用いられる。




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