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関節リウマチに用いる薬

覚えること

  • 関節リウマチ(RA)は、免疫異常によって滑膜に慢性炎症が起こる疾患である。
  • RA治療では、単に痛みを取るだけでなく、関節破壊の進行を抑えることが重要である。
  • 治療の中心となるのはDMARDs(疾患修飾性抗リウマチ薬)である。
  • メトトレキサート(MTX)はRA治療の中心的薬剤である。
  • トファシチニブはJAK1・JAK3を阻害する。
  • インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、エタネルセプトはTNF-αを標的とする。
  • トシリズマブはIL-6受容体を阻害する。
  • アバタセプトはCD80/CD86に結合し、T細胞の共刺激シグナルを阻害する。
  • 生物学的製剤では重篤な感染症や結核に注意する。

関節リウマチとは

関節リウマチは、免疫機構の異常によって主に関節滑膜に炎症が起こる慢性炎症性疾患である。炎症が持続すると滑膜が増殖し、軟骨や骨が障害され、関節破壊・変形につながる。
そのため、RA治療では、「痛みを抑えること」だけでなく「病気そのものの進行を抑えること」が重要である。

しもっち
RAでは「関節が痛いから鎮痛薬」だけでは不十分です。
炎症が続けば関節そのものが壊れていくので、免疫反応を抑えて関節破壊を防ぐ薬が治療の中心になります。

RA治療薬の考え方

RA治療薬は大きく、病気そのものの進行を抑える薬炎症・疼痛などの症状を抑える薬に分けて考える。

疾患の進行を抑える薬

  • 免疫調節薬
  • 免疫抑制薬
  • 分子標的型合成DMARDs
  • 生物学的製剤

症状を抑える薬

  • NSAIDs
  • 副腎皮質ステロイド
しもっち
国試では、「病気の進行を止める薬?」それとも「今の痛みを取る薬?」をまず分けよう。
DMARDs → 関節破壊を抑える
NSAIDs → 痛み・炎症を和らげる
NSAIDsだけではRAそのものの進行を抑えられない点が大事だよ。

DMARDs

DMARDs(Disease-Modifying Antirheumatic Drugs)は、疾患修飾性抗リウマチ薬であり、RAの免疫異常や炎症を抑えて関節破壊の進行を抑制する。
その中でも、メトトレキサートが中心的薬剤として用いられる。

メトトレキサート

メトトレキサートは、RA治療において中心となる免疫抑制薬である。

⚫️作用機序
葉酸代謝を阻害することで核酸合成を抑制し、リンパ球や滑膜細胞の増殖を抑制する。さらに、抗体産生、滑膜増殖、炎症細胞の遊走などを抑えることで、RAの活動性を低下させる。

メトトレキサート

葉酸代謝阻害
→核酸合成阻害→リンパ球・滑膜細胞増殖抑制
RAの進行を抑制

⚫️投与方法
RAではメトトレキサートを週単位で投与する。
通常6 mg/週から開始し、効果不十分な場合には16 mg/週まで増量可能と整理されている。
毎日服用する薬ではないため、誤投与・過量投与を防ぐ服薬指導が重要である。

⚫️主な副作用

  • 骨髄抑制
  • 間質性肺炎
  • 肝障害
  • 感染症
  • 消化器症状

⚫️葉酸を併用する理由
メトトレキサートによる消化器症状や肝機能障害などの副作用を軽減するため、葉酸を投与することがある。
メトトレキサート最終投与後24~48時間以内の葉酸投与が有効と整理されている。

しもっち
メトトレキサートは国試でかなり重要です。
MTX → 週単位で投与
副作用 → 骨髄抑制・間質性肺炎・肝障害
副作用軽減 → 葉酸
この3つはセットで押さえておこう。

サラゾスルファピリジン

サラゾスルファピリジンは、炎症性サイトカイン産生を抑制するとともに、T細胞やマクロファージの作用を抑制して抗リウマチ作用を示す。

⚫️主な副作用

  • 肝障害
  • 血液障害
  • 重篤な皮膚粘膜障害
  • 発疹

胃腸障害を軽減するため、腸溶錠が用いられる。また、潰瘍性大腸炎にも用いられる。

イグラチモド

イグラチモドは、単球、マクロファージ、B細胞などでNF-κBの活性化を抑制する。
その結果、炎症性サイトカインや免疫グロブリンの産生を抑制し、抗リウマチ作用を示す。

⚫️主な副作用

  • 肝障害
  • 胃腸障害
  • 間質性肺炎
  • 血液障害
しもっち
イグラチモドは、NF-κBを止める → 炎症性サイトカイン↓までつなげよう。
さらに、ワルファリンとの併用禁忌は個別薬の特徴として押さえておきたいポイントです。

ペニシラミン・ブシラミン

これらは分子内にSH基を有する。
免疫複合体やリウマトイド因子のジスルフィド結合(-S-S-)を開裂することで、その作用を弱める。
ペニシラミンはRA以外にも、Wilson病や重金属中毒などに用いられる。

ミゾリビン

ミゾリビンは、イノシン酸からグアニル酸への代謝経路を阻害し、核酸合成を抑えることで免疫抑制作用を示す。

レフルノミド

レフルノミドの活性代謝物は、ジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼを阻害する。
その結果、ピリミジン生合成を抑制し、リンパ球の活性化・増殖を抑える。

⚫️主な副作用

  • 骨髄抑制
  • 間質性肺炎
  • 肝障害
  • 感染症

タクロリムス

タクロリムスは、T細胞内のFKBPと結合し、カルシニューリンを阻害する。
その結果、NF-ATの活性化を抑え、IL-2やIFN-γなどのサイトカイン産生を抑制する。

⚫️主な副作用

  • 腎障害
  • 肝障害
  • 高血糖
  • 感染症

トファシチニブ

トファシチニブは、T細胞やマクロファージなどのシグナル伝達に関与するJAK1・JAK3を阻害する。
その結果、インターロイキンやインターフェロンなどのシグナル伝達を抑え、炎症性サイトカインや免疫グロブリン産生を抑制する。

⚫️主な副作用

  • 感染症
  • 肝機能障害
  • 悪性腫瘍
  • 好中球減少
  • リンパ球減少
しもっち
トファシチニブは「サイトカインを直接中和する薬」ではないよ。
JAK阻害
→サイトカイン受容体からの細胞内シグナルを止める
→炎症反応↓
生物学的製剤との違いを意識しよう。

生物学的製剤

生物学的製剤は、TNF-αやIL-6など、RAの炎症に関与する特定の分子や受容体を標的として作用する。

TNF-αを標的とする薬

インフリキシマブ

インフリキシマブは、キメラ型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体である。
TNF-αに結合し、TNF-αによる炎症反応を抑制する。
RAに用いる場合は、メトトレキサートと併用する。

アダリムマブ・ゴリムマブ

アダリムマブ、ゴリムマブは完全ヒト型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体である。TNF-αの作用を阻害し、炎症反応を抑制する。

エタネルセプト

エタネルセプトは抗体ではなく、可溶性TNF受容体製剤である。
おとり受容体としてTNF-αやLT-αを捕捉し、細胞表面受容体への結合を妨げる。

しもっち
TNF-α関連薬は、「全部モノクローナル抗体」ではありません。
インフリキシマブ・アダリムマブ・ゴリムマブ
抗TNF-α抗体
エタネルセプト
可溶性TNF受容体
ここは国試で入れ替えられやすいよ。
また、TNF-α関連薬の標的はTNF-αであり、TNF -α受容体ではないので、
問題文に「TNF-α受容体に作用し」と記載されていたら、「誤」の問題と判断できるようになりましょう。

トシリズマブ

トシリズマブは、ヒト化抗ヒトIL-6受容体モノクローナル抗体である。
IL-6受容体に結合して、IL-6による炎症シグナルを遮断する。

アバタセプト

アバタセプトは、抗原提示細胞表面のCD80/CD86に結合する。
その結果、CD28を介したT細胞への共刺激シグナルを阻害し、T細胞の活性化とサイトカイン産生を抑制する。

アバタセプト

抗原提示細胞のCD80/CD86
→アバタセプトが結合
→CD28への共刺激シグナル↓
T細胞活性化↓

生物学的製剤の注意点

生物学的製剤では免疫反応を強く抑えるため、重篤な感染症に注意する。
特にTNF-α阻害薬などでは、結核の再活性化が問題となる。
そのため治療開始前には、結核の既往や感染の有無を確認することが重要である。

また、生物学的製剤ではB型肝炎ウイルス再活性化にも注意する。

しもっち
生物学的製剤が症例に出てきたら、
「感染症のチェックはされている?」と考えよう。
特に結核・B型肝炎は患者背景として狙われやすいよ。

NSAIDs・副腎皮質ステロイド

NSAIDsや副腎皮質ステロイドは、RAの疼痛や炎症を速やかに軽減する目的で用いられる。
ただし、NSAIDsはDMARDsとは異なり、関節破壊の進行そのものを抑える薬ではない
そのため、RAの治療ではDMARDsを中心とし、必要に応じてNSAIDsなどを組み合わせる。

作用点から整理しよう

  • メトトレキサート → 葉酸代謝阻害 → 核酸合成↓
  • イグラチモド → NF-κB活性化抑制
  • レフルノミド → ピリミジン合成阻害
  • タクロリムス → FKBP+カルシニューリン阻害
  • トファシチニブ → JAK1・JAK3阻害
  • インフリキシマブ・アダリムマブ・ゴリムマブ → TNF-α
  • エタネルセプト → 可溶性TNF受容体
  • トシリズマブ → IL-6受容体
  • アバタセプト → CD80/CD86
しもっち
RA治療薬は、薬の名前を横並びに覚えるとかなり大変です。
核酸を作らせない → MTX・レフルノミドなど
細胞内シグナルを止める → トファシチニブ
炎症性サイトカインを直接止める → 生物学的製剤
T細胞の活性化を止める → アバタセプト
作用する場所で整理するとかなり見えやすくなるよ。

国家試験での狙い目

  • RA=滑膜を中心とした慢性炎症性疾患
  • メトトレキサート=中心的DMARD
  • MTX=週単位投与
  • MTX副作用=骨髄抑制・間質性肺炎・肝障害
  • MTX副作用軽減=葉酸
  • レフルノミド=ピリミジン生合成阻害
  • トファシチニブ=JAK1・JAK3阻害
  • インフリキシマブ=TNF-α抗体+RAではMTX併用
  • エタネルセプト=可溶性TNF受容体
  • トシリズマブ=IL-6受容体抗体
  • アバタセプト=CD80/CD86 → T細胞共刺激阻害
  • 生物学的製剤=感染症・結核に注意
しもっち
RAの問題では、「MTXで治療中だけど効果不十分」という症例がよく出ます。
そのときは、生物学的製剤やJAK阻害薬を追加する場面かもと考えよう。
さらに、結核・B型肝炎などの感染症リスクまで確認できると症例問題にかなり強くなるよ。

1問1答で確認しよう

Q1.RA治療の中心的薬剤は?
メトトレキサート。

Q2.RAでメトトレキサートは毎日投与する?
しない。週単位で投与する。

Q3.メトトレキサートの代表的な副作用は?
骨髄抑制、間質性肺炎、肝障害など。

Q4.メトトレキサートの副作用軽減に用いるものは?
葉酸。

Q5.トファシチニブが阻害する酵素は?
JAK1・JAK3。

Q6.インフリキシマブが標的とするサイトカインは?
TNF-α。

Q7.可溶性TNF受容体として作用する薬は?
エタネルセプト。

Q8.トシリズマブが標的とする受容体は?
IL-6受容体。

Q9.アバタセプトが結合する分子は?
CD80/CD86。

Q10.生物学的製剤開始前に特に確認する感染症は?
結核、B型肝炎など。

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