薬剤師国家試験出題項目

酸化還元平衡

1 酸化数

 酸化還元反応を考える上で、酸化数は重要である。次に化合物中の原子の酸化数の求め方についてまとめる。
①:単体(水素ガスや黒鉛など)を構成する原子の酸化数は「0」である。
②:化合物中の水素原子の酸化数は「+1」である。
③:化合物中の酸素原子の酸化数は「-2」である。
④:中性分子の分子全体の酸化数は「0」であり、成分原子の酸化数の総和と等しい。
⑤:単原子イオンの酸化数は、そのイオンの価数と等しい。
⑥:多原子イオン全体の酸化数は、成分原子の酸化数の総和に等しく、そのイオンの価数と等しい。
⑦:A−Bの結合における、A、Bの酸化数

電気陰性度:A=Bのとき、「A、B:0」
電気陰性度:A>Bのとき、「A:-1、B:+1」

この規則にしたがってエタノール(CH3CH2OH)、アセトアルデヒド(CH3COH)、酢酸(CH3COOH)のメチル基(CH3)が結合している炭素の酸化数については以下のように考えることができる。

2 酸化還元反応

 エタノールは酸化されるとアセトアルデヒド、酢酸が生成される。

メチル基の結合している炭素に注目すると、エタノールでは「酸化数:-1」、アセトアルデヒドでは「酸化数:+1」、酢酸では「酸化数:+3」となっている。このことから、酸化反応、還元反応を定義すると次のようになる。

酸化反応:電子を与えることにより、化合物中のある原子の酸化数が増加する反応
還元反応:電子を受け取ることにより、化合物中のある原子の酸化数が減少する反応

また、酸化還元反応は、水素、酸素の動きより以下のように考えることができる。
酸化反応:酸素が付加する。または、水素が脱離する。
還元反応:酸素が脱離する。または、水素が付加する。

3 電極電位、標準電極電位

 半電池の電位Eについては、下記の式(ネルンスト式)が成立する。

例えば、Zn2/Zn系からなる半電池の電極電位では、下記の式が成立し、

[Zn]、[Zn2]が1 mol/Lの場合、E=E標準が成立する。
E標準は、標準水素電極(水素ガスの圧力を1atm、Hの活量を1)を0Vとして相対値として測定であり、Zn2/Zn系のE標準は-0.763Vであることから、[Zn]、[Zn2]が1 mol/LにおけるEは「-0.763V」となる。

<参考:標準電極電位の特徴>
標準電極電位は、標準水素電極を0Vとしたときの標準状態における電極の電位であり、標準電極電位が低い半電池では、以下の特徴を有する。
①:酸化反応が起こりやすい
②:電子を放出しやすい
③:イオンになりやすい(イオン化傾向が大きい)

4 酸化還元反応の進行方向

 ダニエル電池は、亜鉛電極(Zn|ZnSO4)と銅電極(Cu|CuSO4)で構成されており、ぞれぞれの電極の標準電極電位が-0.763V、+0.337 Vであり、亜鉛電極(Zn|ZnSO4)<銅電極(Cu|CuSO4)であることから、両電極を連結すると、亜鉛電極では酸化反応が起こり、銅電極では還元反応が進行する。

亜鉛電極:Zn→ Zn2+2e
銅電極:Cu2+2e→Cu

このことから、この電池における全反応は以下のように表される。

全反応:Cu2+Zn→Zn2+Cu

◇関連問題◇

第95回問18、第98回問9、第101回問7、第103回問9

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