薬剤師国家試験出題項目

遺伝子と遺伝のしくみ

Section1 遺伝子と遺伝のしくみ

1 ヒトの染色体の構成

染色体は遺伝情報の発現と伝達を担う生体物質であり、塩基性の色素でよく染色されることから名付けられた。ヒトの体細胞は二倍体(染色体が対になっていて、基数の2倍の染色体数をもつ細胞)であり、1〜22番の常染色体が2本ずつと2本の性染色体が含まれている。性染色体は、男性ではX、Y染色体1本ずつ、女性ではX染色体が2本含まれている。
ヒト二倍体細胞から一倍体である配偶子(精子、卵子)が形成される過程を減数分裂といい、一般に配偶子の組み合わせは223=8,388,608通りとなる。

2 遺伝における法則

 遺伝における法則として、優性の法則、分離の法則、独立の法則がある。

 1)優性の法則

子には優性の形質が現れ、劣性の形質は隠される。
<例:ヒトABO式血液型>
赤血球細胞膜上にはH抗原といわれる糖鎖が結合しており、このH抗原の糖修飾の状態がヒト第9染色体上の遺伝子により決定される。O型遺伝子を有する場合、H抗原に糖を付加することができない。それに対してA型遺伝子、B型遺伝子を有する場合には、H抗原にA型あるいはB型特有の糖鎖が付加される。

遺伝子型がAAあるいはAOの場合、表現型(血液型)はA型、遺伝子型がBBあるいはBOの場合、表現型(血液型)はB型となることから、A型、B型は優性、O型は劣性となる。

2)分離の法則

分離の法則とは、隠された劣性の形式が子に現れる遺伝子現象のことである。例えば、遺伝子型がAO(血液型A型)どおしのカップルに生まれてくる子を想定すると、下記のような遺伝子型(表現型)を持つ子ができる可能性がある。

親は共にA型であるにも関わらず、O型の子が生まれることがある。このように親の代に隠されていた劣性形式が子の代に現れることがある。

 3)独立の法則

独立の法則とは、異なる2つの形質の遺伝は独立して起こることである。例えば、アルデヒドデヒドロゲナーゼ2の高活性型(H)とアルデヒドデヒドロゲナーゼの低活性型(L)の遺伝子型を有し、ヒトABO式血液型の遺伝子型がAOのカップルから生まれてくる子の遺伝子型を考えると、それぞれの遺伝子はヒト第12染色体上、第9染色体上にあることから、下記のような遺伝子型(表現型)を持つ子ができる可能性がある。

A型でアルデヒドデヒドロゲナーゼ2の活性あり(濃い赤)、A型でアルデヒドデヒドロゲナーゼ2の活性が弱い(薄い赤)、O型でアルデヒドデヒドロゲナーゼ2の活性あり(濃い青)、O型でアルデヒドデヒドロゲナーゼ2の活性が弱い(薄い青)というように血液型とアルデヒドデヒドロゲナーゼ2の活性の程度は独立して子の形質に現れる。

3 連鎖

連鎖とは、同一染色体上に存在する二つの遺伝子は同一の配偶子に分配される事象のことである。減数分裂する際、父方由来の相同染色体と母方由来の相同染色体がくっつき父方と母方の染色体間で乗換え(染色体の交換反応)が起こると連鎖の破れが認められる。

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