選定療養は、日本の医療制度において、公的医療保険が適用される診療の範囲内で、患者が特別なサービスや選択肢を希望した場合に、追加費用を自己負担する仕組みを指す。この制度は、患者の利便性向上や個別のニーズに応じた柔軟な医療提供を目的としている。
主な対象となる医療行為
選定療養の対象となる医療行為は厚生労働省によって定められており、以下のようなものが含まれる:
- 差額ベッド代(特別療養環境)
- 個室や特別室など、一般病床と異なる環境を希望する場合。
- 予約診療
- 時間予約を行う診療。
- 歯科金属冠や義歯の特別仕様
- 保険診療で認められるものとは異なる素材を希望する場合。
- 文書料や診断書料
- 診断書や証明書の発行。
- 自由診療との併用
- 医師が必要と判断しない医療行為や治療薬を患者が希望した場合。
- 高度医療機器の利用
- MRIやCTスキャンなど、特に高度な医療機器を用いる診療。
- 患者が希望する薬剤や治療
- 保険外の薬剤を利用する場合、先発医薬品を希望する場合。
費用負担
選定療養においては、保険診療と保険外診療が明確に分けられており、以下のように費用が負担される:
- 保険適用部分: 通常の公的保険の自己負担割合(1割〜3割)を支払う。
- 選定療養部分: 全額自己負担。
たとえば、個室を希望した場合は、通常の入院費用に加えて差額ベッド代を支払う必要がある。
制度の目的
- 患者の選択肢拡大: 医療サービスの質や利便性を高め、患者が自らのニーズに合った治療や環境を選べるようにする。
- 医療機関の効率化: 特定の希望を持つ患者に対して柔軟な対応を行うことで、医療資源を効率的に活用する。
制度の課題
- 費用負担の公平性: 経済的に余裕がない患者には選択が難しい場合がある。
- サービスの濫用: 患者が必要以上の選定療養を求めることで、医療全体の効率が低下する可能性がある。




コメント