薬剤師国家試験出題項目

過敏性腸症候群治療薬

1 過敏性腸症候群

 過敏性腸症候群(IBS:irritable bowel syndrome)とは、小腸や大腸に異常が見つからないにも関わらず、便通異常や腹部に不快な症状が続く疾患のことである。便の性状により、便秘型(IBS−C)、下痢型(IBS−D)、混合型(IBS−M)、分類不能型(IBS−U)に分類される。

症状に応じて、過敏性腸症候群の治療には、高分子重合体、消化管機能調節薬、下剤(塩類下剤、グアニル酸シクラーゼC受容体作動薬)、止瀉薬(5−HT3受容体遮断薬、腸運動抑制薬、整腸薬など)、抗コリン薬、抗不安薬(ベンゾジアゼピン系抗不安薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が用いられる。

2 過敏性腸症候群治療薬

1)高分子重合体

① ポリカルボフィルカルシウム

・胃内の酸性条件下でカルシウムを遊離し、ポリカルボフィルとなり、小腸および大腸で水分を吸収する。
・下痢の時:増加した水分を吸収し、便通過速度を低下させる。
・便秘の時:腸管から水分を吸収し、膨張することで腸管運動を促進させ、排便回数を増加させる。
・過敏性腸症候群における便通異常(下痢、便秘)および消化器症状に用いられる。

2)消化管機能調節薬

① トリメブチン

・腸管運動亢進時には、副交感神経終末にあるオピオイドκ、μ受容体に作用し、アセチルコリンの遊離を抑制することで腸管運動を抑制する。
・腸管運動低下時には、交感神経終末にあるオピオイドμ受容体に作用し、ノルアドレナリンの遊離を抑制するとともに副交感神経終末からのアセチルコリンの遊離を促進することで、腸管運動を促進する。
・中枢へほとんど移行しない。

3)5−HT3受容体拮抗薬

① ラモセトロン

・腸管神経叢の副交感神経にある5−HT3受容体を遮断し、アセチルコリンの遊離を抑制することにより腸管運動を抑制する。
・求心性神経の神経終末に存在する5−HT3受容体を遮断することで、大腸伸展による痛覚伝導を抑制する。
・下痢型の過敏性腸症候群に用いられる。

4)グアニル酸シクラーゼC受容体作動薬

① リナクロチド

・グアニル酸シクラーゼC受容体を活性化させ、細胞内のサイクリックGMP濃度を増加させることにより腸管分泌並びに腸管輸送能を促進させる。
・ストレスや大腸炎によって引き起こされる大腸痛覚過敏を抑制する。
・便秘型過敏性腸症候群、慢性便秘症に用いられる。

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◇関連問題◇
第97回問159、第98回問162、第100回問159

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