角質は、皮膚の最外層である表皮の最も外側を構成する層(角質層)であり、体を外部環境から守るバリアとして重要な役割を果たしている。この層は死んだ細胞(角化細胞)が積み重なってできており、水分の蒸発を防ぎ、物理的・化学的な刺激や病原体から体を保護する。

構造と特徴
- 構造
- 角質は、死んだ角化細胞(角質細胞)と、それらをつなぐ脂質層(細胞間脂質)で構成される。
- 角化細胞は核や細胞小器官を失ったフラットな形状で、ケラチンというタンパク質を多く含む。
- 細胞間脂質
- 角質細胞の間にはセラミド、コレステロール、遊離脂肪酸などの脂質が存在し、水分の保持やバリア機能に寄与している。
- ターンオーバー
- 表皮細胞は基底層で生まれ、徐々に上層へ移動しながら角化し、最終的に角質となる。
- 通常、表皮のターンオーバーは約28日周期で行われ、古い角質は垢として自然に剥がれ落ちる。
機能
- バリア機能
- 外部からの異物や病原体、化学物質の侵入を防ぐ。
- 内部からの水分の蒸発を抑え、体の水分バランスを維持する。
- 保湿
- 角質内の天然保湿因子(NMF: Natural Moisturizing Factor)や細胞間脂質が水分を保持し、肌の柔軟性を保つ。
- 紫外線防御
- 角質層は紫外線をある程度吸収し、真皮や表皮の深層を紫外線から守る。
- 保護
- 物理的な摩擦や衝撃から体を守るクッションのような役割を果たす。
異常とトラブル
- 乾燥
- 細胞間脂質や天然保湿因子が不足すると角質層が乾燥し、肌のバリア機能が低下する。
- 過剰な角質
- 古い角質が正常に剥がれ落ちずに蓄積すると、肌のざらつきやくすみ、毛穴詰まりの原因となる。
- 角化異常
- 乾癬や魚鱗癬など、角質の形成や剥離が異常になる疾患がある。
- バリア機能の低下
- 角質層が損傷すると外部刺激に対する耐性が低下し、アレルギーや炎症、感染症のリスクが高まる。
ケアと保護
- 保湿
- セラミドやヒアルロン酸、尿素を含む保湿剤で角質層の水分を補給する。
- 角質ケア
- 適度なピーリングで古い角質を除去し、ターンオーバーを促進する。
- ただし、過剰な角質除去はバリア機能を損なうため注意が必要。
- 紫外線対策
- 日焼け止めを使用して紫外線による角質層の損傷を防ぐ。
- 外部刺激を避ける
- 強い洗浄剤や過度な摩擦を避け、角質層を傷つけないようにする。
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