薬剤師国家試験出題項目

薬物の吸収過程における相互作用

薬物を併用することにより、吸収過程のおいて相互作用が認められることがある。吸収過程における相互作用には、胃内容排泄速度、キレート形成、消化管pHの変動、吸着、トランスポーターの阻害などが関与している。

1 胃内容排泄速度

経口投与された薬物は、小腸に移行してから吸収されるため、胃の内容物を小腸に排出する速度(胃内容排出速度:GER)が吸収に影響を与えることがある。食事、抗コリン薬(プロパンテリンなど)、三環系抗うつ薬(イミプラミンなど)、麻薬性鎮痛薬(モルヒネなど)により、GERが低下すると、併用薬の小腸への移行は遅くなり、吸収も遅くなる。それに対して、制吐薬(メトクロプラミドなど)によってGERが増加すると、併用薬の小腸への移行が速くなり、吸収も速くなる。一般にGERが変化すると吸収速度は変化するが、吸収量はほとんど変わらない。

2 キレート形成

テトラサイクリン類やニューキノロン系抗菌薬、ビスホスホネート製剤と2価以上の金属イオン(Ca2、Mg2、Al3など)を含む医薬品を併用すると、不溶性のキレートが形成され、テトラサイクリン類やニューキノロン系抗菌薬、ビスホスホネート製剤の吸収が低下する。また、セフジニルと鉄を併用すると、不溶性のキレートが形成され、セフジニルの吸収が低下する。
このように不溶性のキレートが形成されることにより、吸収が低下する場合には、両剤の服用時間を2〜3時間ずらす必要がある。

3 胃内pHの変化による吸収阻害

胃内pHが上昇すると、難溶解性塩基性薬物の溶解性が低下し、吸収が低下することがある。胃内pHの上昇により、吸収性が低下する薬物には、イトラコナゾール、アタザナビル、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブなどがある。 

4 吸着による吸収阻害

コレスチラミンやコレスチミドは陰イオン交換樹脂であり、消化管内で胆汁酸などの陰イオン性物質を吸着し、便中に排泄させる。コレスチラミンやコレスチミドが胆汁酸を吸着した場合には、消化管よりコレステロールの吸収を阻害し、肝臓中のコレステロールを低下させる。また、陰イオン性物質(酸性薬物:ワルファリン、プラバスタチンなど)を吸着した場合には、それらの薬物の吸収を阻害する。

5 トランスポーターを介した吸収障害

小腸上皮細胞には、P糖タンパク質が発現しており、一部の薬物の吸収を阻害している。リファンピシンやセントジョーンズワートを投与すると、P糖タンパク質が誘導されるため、P糖タンパク質の基質であるジゴキシンなどの吸収が阻害され、単独投与時に比べ血中濃度が低下することがある。また、ジュース中に含まれるフラノクマリン類やフラボノイド類は、薬物吸収に関与するOATP(有機輸送ポリペプチド)を阻害する。そのため、フラノクマリン類やフラボノイド類は、OATPの基質である薬物(フェキソフェナジンなど)の吸収性を低下させることがある。

関連問題
第99回問334、第100回問267、第101回問206、第102回問272

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