薬剤師国家試験出題項目

薬物のリンパおよび乳汁中への移行

1 薬物のリンパへの移行

薬物の分布には、血液およびリンパ液が関与しており、多くの薬物は全身循環血により全身に運ばれるが、一部の薬物についてはリンパを介して運ばれる。リンパ液は血液に比べゆっくり体内を循環しており、その量は1日に約1〜2Lである。リンパ液は末梢リンパ管から胸管へと流れ、その後静脈に流入する一方向の移動であり、薬物が循環することはほとんどない。
皮下、筋肉内投与などにより、細胞間隙への薬物を投与した場合、薬物の分子量により移行性が決まる。分子量5000以下の薬物については、細胞間隙が狭い血管に移行し、分子量5000以上の薬物については、細胞間隙の広いリンパ管へ移行する。また、長鎖脂肪酸、ビタミンAなど脂溶性の高い薬物を消化管から投与した場合、リンパ管を介して吸収される。そのため、長鎖脂肪酸、ビタミンAなど脂溶性の高い薬物を経口投与した場合、肝初回通過効果を受けない。

2 薬物の乳汁中への移行

母体血液から乳汁への薬物の移行については、主に受動拡散が関与しており、分子量が小さく、脂溶性が高いもの、血漿タンパク結合しにくいものが乳汁中に移行しやすい。また、母体血と乳汁のpHの違いが薬物の移行性に影響を与える。血液のpHは約7.4、乳汁のpHは約6.6であることから、塩基性薬物の場合、乳汁中に比べ血液中で分子形分率が高くなる傾向にある。このことから、塩基性薬物は、血液から乳汁に移行しやすい。

乳汁には、薬物以外にもグルコースやアミノ酸が含まれており、それらはトランスポーターにより上皮細胞を通過する。
乳汁中への薬物の移行性については、乳汁中濃度/血漿中濃度比(M/P比)で表され、この値が1より大きい場合、乳汁中移行率が高いと判断できる。
乳児への薬物負荷量は、授乳時の母体の平均血漿中濃度×M/P比×哺乳量で算出することができる。

乳児へのリスク指標には、相対乳児投与量(RID)が用いられる。

RIDについては、10%以下で安全と考えられ、1%以下は問題ないと考えられる。

◇関連問題◇
第96回問153、第101回問42

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