1 アルブミン、α1酸性糖タンパク質
薬物の血漿タンパク結合には、主にヒト血漿アルブミン(HAS:分子量65,000)とα1酸性糖タンパク質(AGP)が関与している。
1)ヒト血漿アルブミン(HAS)
HASは、最も多い血漿タンパク質(血漿タンパク質の約50〜60%を占める)であり、酸性薬物(ワルファリン、インドメタシン、フェニトイン、フロセミドなど)との親和性が大きい。主に肝で生合成され、腎機能障害、肝硬変、妊娠などにより減少することがある。HASには、薬物結合部位であるサイトⅠ、Ⅱ、Ⅲが存在する。
2)α1酸性糖タンパク質(AGP)
AGPは、HASに比べ、血漿中での濃度は高くないが、主に塩基性薬物と結合する。AGPは、外傷、外科手術、熱傷、急性心筋梗塞、炎症性疾患、感染症などの疾患時にその濃度が著しく増加することがある。
2 血漿タンパク結合率の高い薬物例
血漿タンパク質に結合した薬物は、分子量が大きく、生体膜を透過することができないため、組織に移行することができず、薬効を発現することはできない。そのため、血漿タンパク結合率はその薬物の効果発現を考える上で重要な項目となる。
一般に疎水性(脂溶性)薬物の血漿タンパク結合性は高い傾向にある。その理由として、薬物の結合部位が疎水領域に富んでいるためである。
◇関連問題◇
第94回問154