覚えること
- 自律神経節ではニコチン性アセチルコリンNN受容体を介して神経伝達が行われる。
- 自律神経節遮断薬はNN受容体を遮断し、交感神経・副交感神経の両方の神経節伝達を抑制する。
- すべての臓器に同じ作用が現れるわけではない。
- 各臓器で「交感神経と副交感神経のどちらが優位か」によって、遮断後の作用が決まる。
- 遮断作用は優位な神経で認められる。
例えば、
血管は交感神経優位 → 節遮断で血管拡張・血圧低下。
心臓は副交感神経優位 → 節遮断で心拍数増加。 - 代表的な自律神経節遮断薬としてヘキサメトニウムがある。
自律神経節とは?
交感神経・副交感神経では、中枢から効果器まで1本の神経で直接つながっているのではなく、自律神経節で一度ニューロンを乗り換える。
この自律神経節では、節前線維からアセチルコリン(ACh)が放出され、節後ニューロンに存在するニコチン性アセチルコリンNN受容体を刺激する。
節前線維→AChを放出→自律神経節のNN受容体を刺激
→節後ニューロンが興奮→各臓器へ情報が伝わる
しもっち自律神経節に作用する薬
自律神経節刺激薬
自律神経節のNN受容体を刺激すると、節後ニューロンが興奮して自律神経作用が増強される。
代表例には、少量のニコチン、アセチルコリン、カルバコールなどがある。
自律神経節遮断薬
自律神経節遮断薬は、NN受容体を遮断することで、自律神経節における神経伝達を抑制する。
代表薬としてヘキサメトニウムがある。また、ニコチンも大量では神経節伝達を遮断する方向に作用する。
なぜ臓器によって作用が違うの?
自律神経節遮断薬は交感神経と副交感神経の両方を遮断する。
それなら、「作用が全部打ち消し合うのでは?」と思いやすい。
しかし実際には、各臓器では交感神経と副交感神経の作用が同じ強さで働いているわけではない。
安静時にどちらか一方の神経支配が優位となっているため、自律神経節を遮断するとその臓器で優位だった神経の作用が失われた結果が強く現れる。



問題を見たらまず、「この臓器は普段、交感神経と副交感神経のどっちが優位?」を考えよう。そしてその優位な神経を止めたらどうなるかを考えれば答えが出せるよ。
交感神経が優位な臓器
血管
血管では交感神経支配が優位である。
通常は交感神経によってある程度の血管収縮が維持されている。
自律神経節遮断薬を投与すると交感神経作用が低下するため、血管平滑筋が弛緩する。
その結果、末梢血管抵抗が低下し、血圧が低下する。
血管は交感神経優位→自律神経節遮断
→交感神経作用↓→血管平滑筋弛緩
→血圧低下
汗腺
汗腺も交感神経支配が優位である。
自律神経節を遮断すると交感神経作用が低下するため、発汗が低下する。
汗腺を支配するのは交感神経だが、節後線維から放出される神経伝達物質はAChである。
「AChだから副交感神経」と判断しないようにしよう。
副交感神経が優位な臓器
心臓
安静時の心臓では副交感神経(迷走神経)の影響が優位である。そのため、自律神経節を遮断すると副交感神経による心機能抑制が解除され、心拍数が増加する。
つまり、自律神経節遮断薬 → 頻脈となる。



瞳孔
瞳孔では副交感神経によって瞳孔括約筋が収縮し、縮瞳方向への作用が生じている。
自律神経節を遮断するとこの作用が低下し、瞳孔括約筋が弛緩して散瞳する。
毛様体筋
毛様体筋も副交感神経支配が優位である。自律神経節遮断により毛様体筋が弛緩し、調節麻痺や眼圧上昇につながる。
唾液腺
唾液腺では副交感神経作用により唾液分泌が促進されている。
そのため自律神経節を遮断すると、唾液分泌が低下し、口渇が現れる。
消化管
消化管では副交感神経が消化管運動を促進している。自律神経節を遮断すると、消化管平滑筋が弛緩し、消化管運動が低下する。そのため便秘などにつながる。
膀胱
膀胱では副交感神経によって排尿筋が収縮し、排尿が促進されている。
自律神経節を遮断すると排尿筋が弛緩するため、排尿が抑制される。
気管支
気管支では副交感神経による気管支平滑筋収縮作用がある。
そのため自律神経節遮断によって、気管支平滑筋が弛緩し、気管支が拡張する。
自律神経節遮断薬の作用をまとめる
ここでは薬の名前よりも、「優位神経 → 遮断後の変化」を理解することが最重要である。
- 血管:交感神経優位 → 血管拡張 → 血圧低下
- 汗腺:交感神経優位 → 発汗低下
- 心臓:副交感神経優位 → 頻脈
- 瞳孔:副交感神経優位 → 散瞳
- 毛様体筋:副交感神経優位 → 弛緩・眼圧上昇
- 唾液腺:副交感神経優位 → 唾液分泌低下
- 消化管:副交感神経優位 → 消化管運動低下
- 膀胱:副交感神経優位 → 排尿抑制
- 気管支:副交感神経優位 → 気管支拡張
国家試験での狙い目
- 自律神経節=NN受容体を押さえる。
- ヘキサメトニウム=自律神経節遮断薬を押さえる。
- 自律神経節遮断薬は交感神経・副交感神経の両方を遮断する。
- 作用を判断するときは「その臓器でどちらの神経が優位か」を見る。
- 血管=交感神経優位 → 遮断 → 血圧低下。
- 心臓=副交感神経優位 → 遮断 → 頻脈。
- 唾液腺=副交感神経優位 → 遮断 → 口渇。
- 消化管=副交感神経優位 → 遮断 → 運動低下・便秘。
- 瞳孔=副交感神経優位 → 遮断 → 散瞳。



① この臓器は交感神経優位?副交感神経優位?
② その神経を遮断する
③ 普段の作用と逆になる
この3段階で考えれば、知らない選択肢でも判断できるよ。
1問1答で確認しよう
Q1.自律神経節に存在するニコチン受容体は?
→ NN受容体。
Q2.代表的な自律神経節遮断薬は?
→ ヘキサメトニウム。
Q3.自律神経節遮断薬を投与すると血圧はどうなる?
→ 低下する。
Q4.血圧が低下する理由は?
→ 血管では交感神経支配が優位であり、その作用が遮断されて血管が拡張するため。
Q5.自律神経節遮断薬を投与すると心拍数はどうなる?
→ 増加する。
Q6.心拍数が増加する理由は?
→ 心臓では副交感神経支配が優位であり、その抑制作用が解除されるため。
Q7.自律神経節遮断薬により瞳孔はどうなる?
→ 散瞳する。
Q8.自律神経節遮断薬により唾液分泌はどうなる?
→ 低下する。
Q9.自律神経節遮断薬により消化管運動はどうなる?
→ 低下する。
Q10.自律神経節遮断薬の作用を判断するときに最も重要な考え方は?
→ 各臓器で交感神経と副交感神経のどちらが優位かを考える。



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