薬剤師国家試験出題項目

脂質異常症治療薬

脂質異常症治療薬

1 脂質異常症

 脂質異常症とは、高LDLコレステロール(LDL−C)血症、低HDLコレステロール(HDL−C)血症、高トリグリセライド(TG)血症のいずれかを認める病態であり、動脈硬化性疾患(狭心症などの冠動脈疾患、脳梗塞)の危険因子となる。

●脂質異常症の検査・診断
・LDLコレステロール:140mg/dL以上
・HDLコレステロール:40mg/dL未満
・トリグリセライド:150mg/dL以上
上記のいずれかを満たした場合、脂質異常症と診断される。

●脂質異常症治療薬
 脂質異常症の治療薬は、コレステロールを低下させる薬とトリグリセライドを下げる薬に分類される。

2 高コレステロール血症治療薬

 コレステロールを低下させる薬として、HMG–CoA還元酵素阻害薬、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬、陰イオン交換樹脂、プロブコール、PCSK9阻害薬が用いられる。

 ●コレステロールの代謝経路

①:食事由来のコレステロールは、CMレムナントとなり、レムナント受容体を介して肝臓に取り込まれる。
②:肝臓内でアセチルCoAよりコレステロールが合成される。
③:血液中のLDLはLDL受容体を介して肝臓に取り込まれる。
④:肝臓のコレステロールは、胆汁中への排泄される。
⑤:肝臓のコレステロールは、VLDLとして血液中に放出される。

1)HMG−CoA還元酵素阻害薬

① プラバスタチン ② シンバスタチン ③ フルバスタチン
④ アトルバスタチン ⑤ ピタバスタチン ⑥ ロスバスタチン

・HMG−CoA(3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoA)をメバロン酸に変換する酵素であるHMG−CoA還元酵素を阻害し、肝細胞内でのコレステロール合成を抑制することでSREBP−2を活性化する。その結果、LDL受容体の合成を亢進させ、血中からのLDLの取り込みを亢進させる。
・血清HDL上昇作用を示す。
・高脂血症、家族性高コレステロール血症に用いられる。
・副作用として、横紋筋融解症(初期症状:筋肉痛、脱力感、CK上昇)、肝機能障害、消化器症状(下痢、腹痛など)を起こすことがある。
・シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチンは、シトクロムP450により代謝されるため、多くの薬物と相互作用が認められる。
・フィブラート系薬、エリスロマイシン、シクロスポリンと併用すると、横紋筋融解症などの副作用が発生しやすくなる。

2)小腸コレステロールトランスポーター阻害薬

① エゼチミブ

・小腸壁のコレステロールトランスポーターであるNPC1L1に結合し、コレステロールの吸収を選択的に阻害する。
・副作用として横紋筋融解症、肝機能障害を起こすことがある。

3)陰イオン交換樹脂

① コレスチミド ② コレスチラミン

・腸管内で胆汁酸と結合し、コレステロールの体外への排泄を行う。
・胆汁酸の腸肝循環を抑制し、肝臓でのコレステロールから胆汁酸への異化を促進することで肝細胞膜のLDL受容体を増加させる。
・副作用として、腸閉塞、便秘を起こすことがある。
・胆汁酸の肝への取り込みを抑制するため、脂溶性ビタミンの吸収を抑制する。
・レフルノミドの活性代謝物の体内からの除去に用いられることがある。

4)コレステロール異化促進薬

① プロブコール

・肝臓でコレステロールから胆汁酸への異化を促進し、血清コレステロール低下作用を示す。
・LDLに対して抗酸化作用を示し、血管壁へのコレステロールの沈着を防ぐため、抗動脈硬化作用を示す。
・血清HDL低下作用を示す。
・副作用として、QT延長に伴う心室性不整脈、失神、末梢神経炎、横紋筋融解症を起こすことがある。

5)植物ステロール類

① ガンマオリザノール
・コレステロール消化管吸収抑制作用、コレステロール合成阻害作用、コレステロール異化排泄促進作用を示す。

6)PCSK9阻害薬

① エボロクマブ
・ヒト抗PCSK9モノクローナル抗体である。
・LDL受容体分解促進タンパク質であるPCSK9に高い親和性を示し、PCSK9のLDL受容体への結合を阻害することでLDL受容体の分解を抑制する。

3 高トリグリセリド血症治療薬 

1)フィブラート系薬剤

① ベサフィブラート ② フェノフィブラート ③ クロフィブラート

・核内タンパク質であるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α(PPARα)に結合する。
・血中において、リポ蛋白リパーゼを活性化することによりトリグリセリドの分解を促進する。
・肝臓において、β酸化を亢進し、トリグリセリドの合成を阻害する。
・小腸や肝臓において、アポA−Ⅰ活性化などにより血清HDL増加作用を示す。
・肝細胞表面にあるLDL受容体を活性化し、血清コレステロールを低下させる。
・副作用として、横紋筋融解症、肝機能障害、消化器症状を起こすことがある。
・腎障害のある患者に対して、HMG−CoA還元酵素阻害薬と併用すると横紋筋融解症が現れやすくなる。
・血漿タンパク置換によりワルファリンの作用を増強させることがある。

2)ニコチン酸系

① ニコモール ② ニセリトロール

・ニコチン酸受容体に結合し、脂肪細胞でのアデニル酸シクラーゼ阻害することでcAMP産生を抑制し、脂肪組織から肝臓への遊離脂肪酸供給を減少させる。
・肝臓でのトリグリセリド(VLDL)産生を抑制し、血清トリグリセリドを低下させる。
・血中において、リポ蛋白リパーゼを活性化することによりトリグリセリドの分解を促進する。
・血清HDL上昇作用を示す。
・副作用として、皮膚紅潮、発疹、蕁麻疹を起こすことがある。

3)オメガ−3系多価不飽和脂肪酸

① イコサペント酸エチル

・遊離脂肪酸の合成を抑制するとともにPPARα活性化によるトリグリセリドの合成を抑制することにより、肝臓でのVLDL、レムナント産生を抑制する。
・コレステロールの腸管からの吸収を抑制するとともに、肝臓でのコレステロールの生合成を抑制することにより血清コレステロールを低下させる。
・血小板においてTXA2合成阻害作用により血小板凝集抑制作用を示す。
・空腹時に服用すると吸収が低下するため、食直後に服用する。
・副作用として、出血傾向、消化器症状、肝機能障害が起こることがある。

4)リポ蛋白リパーゼ活性化薬

① デキストラン硫酸エステル
・毛細血管壁のリポ蛋白リパーゼを活性化し、血中のTG(VLDL)の分解を促進することのより血清トリグリセリドを低下させる。

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 ◇関連問題◇
第97回問161、第98回問35、第99回問252〜253、第101回問162、第102回問160、第103回問256〜257、第104回問160

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