高トリグリセリド血症では、TGの合成や分解、リポタンパク質の形成・代謝に関わる経路を標的とする薬が用いられます。
国家試験では、薬剤名だけを覚えるのではなく、「TGを作らせないのか」「TGを分解させるのか」「遊離脂肪酸の供給を減らすのか」という視点で整理すると理解しやすくなります。
覚えること
- フィブラート系:PPARαを選択的に活性化し、TG分解を促進する。
- ニコチン酸系薬:脂肪組織からの遊離脂肪酸動員を抑え、肝臓でのTG合成を抑制する。
- デキストラン硫酸エステルナトリウム:LPLなどを活性化してTG分解を促進する。
- イコサペント酸エチル:TG合成抑制やLPL活性化などによりTGを低下させる。
- オメガ-3脂肪酸エチル:脂肪酸のβ酸化促進やLPL活性化などによりTGを低下させる。
TGを下げる薬は「作る・分解する」で考える
血中TGは、主にVLDLやキロミクロンに含まれています。したがって、TGを低下させる薬は、肝臓でのTG合成やVLDL産生を抑える、またはLPLなどを活性化してTG分解を促進することで作用します。
TG合成を抑える→VLDL中のTGが減る→血中TG低下
LPLを活性化する→VLDL・キロミクロン中のTG分解促進→血中TG低下
フィブラート系薬
フィブラート系薬は、主にPPARα(peroxisome proliferator-activated receptor α)を活性化することで脂質代謝を改善し、血中トリグリセリド(TG)を低下させます。
代表薬:フェノフィブラート、ベザフィブラート、ペマフィブラート
PPARα活性化
→LPL(リポタンパク質リパーゼ)活性↑+アポリポタンパクC-III(ApoC-III)発現↓
→TGを多く含むリポタンパク質の代謝促進
血中TG低下
LPLは、キロミクロンやVLDLに含まれるTGを加水分解する酵素である。そのため、LPL活性が上昇するとTGの分解が促進されます。一方、アポリポタンパクC-III(ApoC-III)は、TGを多く含むリポタンパク質の代謝を抑える方向に働きます。
PPARαが活性化されるとApoC-IIIの発現が低下するため、TG-richリポタンパク質の代謝がさらに促進されます。
HDL-Cへの作用
PPARαの活性化により、アポリポタンパクA-I(ApoA-I)やApoA-IIの発現が増加します。
→HDL形成促進→HDL-C上昇
しもっちApoC-IIIはTG代謝を邪魔する側なので、これを減らすとTGは下がりやすくなります。一方、ApoA-IはHDLを作る側なので、これを増やすとHDL-Cが上がります。
つまり、PPARα活性化 → LPL↑・ApoC-III↓ → TG↓、ApoA-I↑ → HDL-C↑までセットで覚えておくと、作用機序の問題にかなり強くなるよ。
ニコチン酸系薬
代表薬:ニコモール、ニセリトロール、トコフェロールニコチン酸エステル
ニコチン酸系薬は、脂肪細胞のニコチン酸受容体に作用し、アデニル酸シクラーゼ活性を抑制してcAMP産生を低下させます。その結果、ホルモン感受性リパーゼ活性が低下し、脂肪組織からの遊離脂肪酸の動員が抑えられます。
ニコチン酸受容体刺激→アデニル酸シクラーゼ抑制→cAMP低下
→ホルモン感受性リパーゼ活性低下→脂肪組織からの遊離脂肪酸動員低下
→肝臓への遊離脂肪酸供給低下→TG合成・VLDL産生低下→血中TG低下
さらに、LPL活性化によるTG分解促進や、HDL-C上昇作用もみられます。
副作用
副作用として、皮膚紅潮や発疹、じん麻疹などがあります。



リポタンパク質リパーゼ活性化薬
代表薬:デキストラン硫酸エステルナトリウム
この薬は、リポタンパク質リパーゼ(LPL)や肝性トリグリセリドリパーゼ(HTGL)を活性化します。
LPL活性化薬によるTG低下
LPL・HTGL活性化→リポタンパク質中のTG分解促進→血中TG低下
高トリグリセリド血症などで用いられます。
EPA製剤
代表薬:イコサペント酸エチル
EPA製剤は、複数の作用によって血中TGを低下させます。
イコサペント酸エチルによるTG低下
SREBP-1cの働きを抑制→TG合成抑制
脂肪酸のβ酸化促進→TG合成に利用される脂肪酸減少
LPL活性化→TG分解促進
血中TG低下
また、血小板凝集抑制作用も有するため、出血傾向には注意が必要である。閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛、冷感の改善などにも用いられます。
EPA・DHA製剤
代表薬:オメガ-3脂肪酸エチル
EPA・DHA製剤は、脂肪酸のβ酸化を促進することでTG合成を抑えます。
さらに、LPL活性化によるTG分解促進も重要である。
EPA・DHA製剤によるTG低下
脂肪酸のβ酸化促進→TG合成抑制
LPL活性化→TG分解促進
血中TG低下
また、リポタンパク質代謝への作用により、小型LDLの減少やHDL-C増加などがみられることもあります。
作用機序で整理しよう
ペマフィブラート
PPARαを活性化する
→ β酸化促進・LPL活性化
ニコチン酸系薬
遊離脂肪酸を肝臓へ送らせない
→ TG合成・VLDL産生低下
デキストラン硫酸エステルナトリウム
LPLを働かせる
→ TG分解促進
EPA製剤
TGを作らせにくくする+分解させる
EPA・DHA製剤
β酸化を進める+LPLを働かせる
国家試験での狙い目
TG低下薬の問題では、「TGを作らせない薬なのか、分解させる薬なのか」をまず確認します。
- PPARα → ペマフィブラート
- ニコチン酸受容体・cAMP低下 → ニコチン酸系薬
- LPL活性化 → TG分解促進
- β酸化促進 → EPA・DHA製剤
- 血小板凝集抑制 → EPA製剤






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