薬剤師国家試験出題項目

肝疾患、膵臓疾患、胆道疾患治療薬

1 肝疾患治療薬

1)慢性ウイルス性肝炎治療薬

(1)インターフェロン製剤
① インターフェロンアルファ ② インターフェロンベータ
③ ペグインターフェロンアルファ-2a ④ ペグインターフェロンアルファ−2b

・2',5'オリゴアデニル酸の合成を促進することでウイルスRNAの分解を促進する。
・二本鎖RNA依存性プロテインキナーゼ(PKR)を誘導することでウイルスタンパク質の翻訳を阻害する。
・免疫細胞を活性化し、ウイルス感染細胞を傷害する作用を有する。
・抗ウイルス作用を示すタンパク質を誘導する作用を有する。
・インフルエンザ様症状(発熱、頭痛、関節痛)、全身倦怠感、食欲不振など副作用が高い頻度で認められる。なお、これらの副作用はPEG化により軽減する。
・重篤な副作用として、精神神経症状(抑うつなど)、間質性肺炎、心筋症、不整脈などを起こすことがある。
・小柴胡湯と併用することで間質性肺炎が現れやすくなるため、IFN製剤と小柴胡湯は併用禁忌である。

 (2)逆転写酵素阻害薬
① エンテカビル ② ラミブジン ③ アデホビル ④ テノホビル

・肝細胞に取り込まれたあと、リン酸化されB型肝炎ウイルス複製中のDNAに取り込まれ、逆転写酵素を阻害するとともにDNA鎖の伸長を停止させる。
・B型慢性肝炎に用いられる。

(3)RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害薬
① リバビリン

・細胞内でリン酸化されグアノシン三リン酸(GTP)と競合することでRNA依存性RNAポリメラーゼを阻害する。
・HCVのゲノムRNAに取り込まれHCVのRNAを不安定化させる。
・インターフェロン製剤や直接型抗ウイルス薬と併用する。
・C型慢性肝炎、C型代償性肝硬変に用いられる。

(4)直接型抗ウイルス薬(DAAs)
●NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬
① テラプレビル ② シメプレビル ③ アスナプレビル ④ バニプレビル ⑤ パリタプレビル
●NS5A阻害薬
⑥ ダクラタスビル ⑦ レジパスビル ⑧ オムビタスビル
●NS5Bポリメラーゼ阻害薬
⑨ ソホスブビル

・NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬は、NS3/4Aセリンプロテアーゼを阻害することで非構造タンパク質の切断を阻害する。
・NS5A阻害薬は、HCVの複製複合体形成を阻害することでHCVゲノム複製を抑制する。
・NS5Bポリメラーゼ阻害薬は、リン酸化されてウリジン三リン酸類似構造となった後、HCVのRNAに取り込まれ、RNAの伸長を停止させる。
・C型慢性肝炎の治療に用いられる。
・HBV、HCVが共存している場合、DAAsを投与するとHCV増殖抑制に伴いHBVが急激に増殖し、急性肝硬変を誘発することがあるため、HBVウイルスマーカーをモニタリングしながらDAAsを投与する。

2)肝機能改善薬

① グリチルリチン製剤
・甘草に含まれるグリチルリチン酸が抗炎症作用、免疫調節作用、肝細胞膜安定化作用、肝細胞膜保護作用を示す。
・慢性肝疾患における肝機能異常の改善に用いられる。
・副作用として、偽アルドステロン症(血圧上昇、低カリウム血症など)を起こすことがある。

3)肝性昏睡治療薬

 肝性昏睡治療薬として、肝性昏睡の主な原因であるアンモニアの生成を抑制するものや芳香族アミノ酸の脳への移行を抑制するものが用いられる。

2 膵炎治療薬

 膵炎では、過量のアルコール、胆石症などが原因でトリプシンの活性化が起こり、それに引き続き他の消化酵素(エラスターゼ、ホスホリパーゼA2など)が活性化され、膵臓および周辺組織が自己消化されることで疼痛、血管傷害、膵実質細胞の壊死などが認められる。
膵炎治療薬として、非ステロイド性抗炎症薬、麻薬性鎮痛薬、タンパク質分解酵素阻害薬が用いられる。

1)タンパク分解酵素阻害薬

① ナファモスタット ② ウリナスタチン ③ ガベキサート ④ カモスタット

・タンパク分解酵素であるトリプシンの活性を阻害し、膵炎の進展を抑制する。
・ナファモスタット、ウリナスタチン、ガベキサートは、急性膵炎、慢性再発性膵炎の急性増悪時に用いられる。
・カモスタットは、慢性膵炎における急性症状の緩解に用いられる。

3 胆道疾患治療薬

胆道疾患治療薬として、胆汁分泌を促す催胆薬と胆汁排泄を促す排胆薬がある。

1)催胆薬

① ウルソデオキシコール酸
・胆汁分泌を促進し、胆汁うっ滞改善作用を示す。
・外殻石灰化を認めないコレステロール胆石を溶解する。
・胆道系疾患・胆汁うっ滞を伴う肝疾患の利胆、外殻石灰化を認めないコレステロール胆石に用いられる。
② デヒドロコール酸
・水分の多い胆汁を分泌させる。
・胆道系疾患・胆汁うっ滞を伴う肝疾患における利胆に用いられる。

③ ケノデオキシコール酸
・胆汁中のコレステロールをミセル化して溶解し、コレステロール胆石の生成を抑制する。
・外殻石灰化を認めないコレステロール胆石に用いられる。

2)排胆薬

① フロプロピオン
・カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)を阻害し、ノルアドレナリン濃度を上昇させることによりOddi括約筋を弛緩させ、排胆作用を示す。
・胆石症、胆管炎、尿路結石の鎮痙に用いられる。

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◇関連問題◇
第98回問34、第100回問34、第100回問159、第102回問34、第103回問162、第103回問254〜255、第103回問260〜261、第104回問34、第104回問158

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