薬剤師国家試験出題項目

経口投与された薬物の吸収

1 薬物の生体内動態

薬物の体内動態は吸収(Absorption)、分布(Distribution)、代謝(Metabolism)、排泄(Excretion)の4つに分類され、それらを訳してADMEという。吸収、分布、代謝、排泄について以下にまとめる。
吸収:薬物が投与部位から全身循環に移行する過程
分布:薬物が全身循環から各組織に移行する過程
代謝:酵素が触媒する化学反応により薬物が構造変化を受ける過程
排泄:薬物が腎臓や肝臓から体外に排出される過程

2 薬物の吸収

薬物の吸収とは、投与部位から全身循環に薬物が移行する過程であり、薬物の作用が発現するためには重要な過程である。薬物が吸収される経路には様々な経路があり、消化管吸収に関連する経口投与は最も簡便で一般的なものであり、全医薬品の約60%が経口投与されている。

3 消化管各部位における薬物の吸収

消化管は咽頭後部から食道、胃、小腸、大腸、肛門と1本の管状の長い臓器である。このうち、薬物の吸収が認められるのは、胃、小腸および大腸である。小腸は、十二指腸、空腸、回腸の3つより構成され、大腸は盲腸、結腸、直腸の3つの部位の総称である。

1)胃における薬物の吸収

胃は消化管の中でも最も膨大した部分であり、その入り口は噴門、出口は幽門といわれる。胃には小腸のように絨毛がないため、その表面積は小腸に比べてかなり小さい。このことから、小腸に比べ薬物の吸収が劣るが、pHが1〜3と低いため、酸性薬物の場合、分子形分率が大きくなり、吸収率が良くなることがある。

2)小腸における薬物の吸収

小腸は消化管の中でも最も長い部分であり、十二指腸、空腸、回腸に分けられる。十二指腸のpHは胃酸分泌の影響を多少受けるため、約5〜6であるが、空腸、回腸のpHは胃酸の影響をほとんど受けないため、6〜7および8程度といわれている。小腸には、表面に絨毛とよばれる突起が存在し、さらに絨毛を覆う上皮細胞の表面には刷子縁といわれる無数の微絨毛が存在する。小腸は絨毛や微絨毛が存在するため、胃や大腸に比べ著しく広い表面積を有する(テニスコート1面分に相当する面積を有するとされている)。

小腸においてほとんどの薬物は単純拡散により吸収されるが、グルコースやアミノ酸、ビタミン類などはトランスポーターによる能動輸送により吸収される。

 (1)小腸粘膜透過過程
 薬物が小腸から吸収されるためには、小腸粘膜と通過する必要がある。小腸粘膜の透過経路には、細胞内経路と細胞間隙経路の2経路がある。細胞内経路を通過する薬物は、消化管側の刷子縁膜(頂側膜)と血管側の側底膜を通過する必要があり、細胞間隙経路を通過する薬物は、密着結合と側細胞膜間を通過する必要がある。

上皮細胞において薬物が管腔側から血管側に移行する過程を吸収といい、薬物が血管側から管腔側に移行する過程を分泌という。

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