糖尿病では、慢性的な高血糖によって神経や腎臓などに障害が生じる。
糖尿病合併症の治療では、血糖コントロールを行うとともに、合併症が生じる機序や症状に応じた薬物療法を行う。
覚えること
- エパルレスタット:アルドース還元酵素を阻害し、ソルビトールの蓄積を抑制する
- メキシレチン:知覚神経のNa+チャネルを遮断し、神経の異常興奮を抑制する
- デュロキセチン:セロトニン・ノルアドレナリン再取り込みを阻害し、下行性疼痛抑制系を賦活する
- ACE阻害薬・ARB:輸出細動脈を拡張し、糸球体内圧を低下させる
糖尿病末梢神経障害治療薬
高血糖状態では、通常の解糖系だけでなくポリオール経路でのグルコース代謝が亢進する。ポリオール経路では、グルコースがアルドース還元酵素によってソルビトールへ変換される。
神経細胞内にソルビトールが蓄積すると、浸透圧の上昇などを介して細胞障害が生じ、糖尿病末梢神経障害の発症・進展に関与する。
エパルレスタット
エパルレスタットはアルドース還元酵素阻害薬である。アルドース還元酵素を阻害することで、グルコースからソルビトールへの変換を抑制し、神経細胞内へのソルビトール蓄積を抑える。糖尿病末梢神経障害に伴うしびれや疼痛などの自覚症状に用いられる。
副作用として、血小板減少や肝機能障害などに注意する。
メキシレチン
メキシレチンは、知覚神経のNa+チャネルを遮断する。Na+の流入を抑えることで、知覚神経の自発性活動電位の発生を抑制し、糖尿病神経障害に伴う自発痛やしびれ感を改善する。
デュロキセチン
デュロキセチンはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)である。セロトニンおよびノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで、脳・脊髄に存在する下行性疼痛抑制系を賦活し、糖尿病神経障害に伴う疼痛を軽減する。
糖尿病腎症治療薬
糖尿病腎症では、糸球体内圧の上昇によって糸球体への負担が増加し、腎機能障害が進行することがある。
そのため、レニン・アンジオテンシン系を抑制するACE阻害薬やアンジオテンシンII AT1受容体遮断薬(ARB)が用いられる。
ACE阻害薬
ACE阻害薬はアンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害し、アンジオテンシンIIの生成を抑制する。
アンジオテンシンIIの作用が弱まることで、腎臓の輸出細動脈が拡張し、糸球体内圧が低下する。
その結果、糸球体への過剰な負荷が軽減され、腎保護作用を示す。代表例としてイミダプリルがある。
アンジオテンシンII AT1受容体遮断薬(ARB)
ARBは、アンジオテンシンIIのAT1受容体を遮断し、アンジオテンシンIIによる血管収縮作用を抑制する。ACE阻害薬と同様に、腎臓の輸出細動脈を拡張して糸球体内圧を低下させ、糖尿病腎症の進展を抑制する。代表例としてロサルタンがある。
しもっち糖尿病末梢神経障害では、
① ソルビトールをためない → エパルレスタット
② 神経の異常興奮を抑える → メキシレチン
③ 下行性疼痛抑制系を働かせる → デュロキセチン
糖尿病腎症では、「輸出細動脈拡張 → 糸球体内圧↓」という流れを押さえておきましょう。
国家試験ではここが狙われる
- アルドース還元酵素阻害
→ エパルレスタット - ソルビトール蓄積抑制
→ 糖尿病末梢神経障害 - 知覚神経Na+チャネル遮断
→ メキシレチン - セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害
→ デュロキセチン - 輸出細動脈拡張 → 糸球体内圧低下
→ ACE阻害薬・ARB
これだけは覚えて帰ろう
- エパルレスタット
= アルドース還元酵素阻害 → ソルビトール↓ - メキシレチン
= Na+チャネル遮断 → 神経興奮↓ - デュロキセチン
= 5-HT・NA再取り込み阻害 → 疼痛抑制 - ACE阻害薬
= Ang II生成↓ → 輸出細動脈拡張 → 糸球体内圧↓ - ARB
= AT1受容体遮断 → 輸出細動脈拡張 → 糸球体内圧↓






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