糖尿病では、慢性的な高血糖によってさまざまな症状や合併症が生じる。
国家試験では、高血糖による脱水症状、糖尿病ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖状態、慢性合併症を整理しておくことが重要である。
覚えること
- 高血糖が続くと、尿糖が増加して浸透圧利尿が起こる
- 浸透圧利尿により、多尿 → 脱水 → 口渇・多飲が起こる
- 1型糖尿病では糖尿病ケトアシドーシスに注意する
- 2型糖尿病では高浸透圧高血糖状態に注意する
- 糖尿病の代表的な慢性合併症は神経障害・網膜症・腎症である
糖尿病でみられる症状
血糖値が著しく上昇すると、腎臓で再吸収しきれなかったグルコースが尿中へ排泄される。
尿中のグルコースは水を引き込むため尿量が増加する。
この現象を浸透圧利尿という。
また、インスリン作用が大きく不足すると、エネルギーを十分に利用できず、体重減少がみられることもある。
しもっち「尿糖が増える → 水も一緒に出る → 脱水する」と考えると、症状が全部つながります。
糖尿病の急性合併症
糖尿病の急性合併症として、糖尿病ケトアシドーシス(DKA)と高浸透圧高血糖状態(HHS)が重要である。
糖尿病ケトアシドーシス(DKA)
DKAは、インスリン作用が著しく不足した場合に起こりやすい。
インスリン作用が不足すると、細胞はグルコースを十分に利用できず、代わりに脂肪分解が亢進する。
その結果、脂肪酸からケトン体が大量に産生され、代謝性アシドーシスをきたす。
DKAでは、悪心・嘔吐、腹痛、Kussmaul呼吸、意識障害などがみられることがある。



Kussmaul呼吸やケトン体増加が出てきたら、かなり重要な手がかりです。
高浸透圧高血糖状態(HHS)
HHSでは、著しい高血糖によって強い浸透圧利尿が起こり、重度の脱水をきたす。
一方で、DKAほどケトン体産生が強くないため、著明なケトアシドーシスを伴わないことが多い。
HHSは2型糖尿病でみられやすく、感染症や脱水などをきっかけに発症することがある。
DKAとHHSを見分けよう
| 見るポイント | DKA | HHS |
|---|---|---|
| 病態の中心 | ケトン体産生+代謝性アシドーシス | 著しい高血糖+高度脱水 |
| 関連しやすい糖尿病 | 1型糖尿病 | 2型糖尿病 |
| ケトン体 | 増加しやすい | 著明な増加は少ない |
| 酸塩基平衡 | 代謝性アシドーシス | 著明なアシドーシスは少ない |
| 特徴的な所見 | Kussmaul呼吸など | 高度脱水・意識障害など |



「ケトン体・アシドーシス」が目立つならDKA、「脱水・高浸透圧」が目立つならHHSと整理すると分かりやすいです。
感染症にも注意する
糖尿病では、慢性的な高血糖によって免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなる。
尿路感染症や皮膚感染症などに注意が必要であり、感染症をきっかけに血糖コントロールが悪化することもある。
糖尿病の慢性合併症
慢性的な高血糖が続くと、血管や神経が障害され、さまざまな慢性合併症が生じる。
特に重要なのが、糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症である。
糖尿病神経障害
糖尿病神経障害では、末梢神経や自律神経が障害される。
末梢神経障害では、手足のしびれ、感覚低下、疼痛などがみられる。
感覚低下が進行すると、足の傷に気づきにくくなり、潰瘍などにつながることがある。
また、自律神経障害では、起立性低血圧、消化管運動異常、排尿障害、勃起障害などがみられることがある。
糖尿病網膜症
糖尿病網膜症は、網膜の細小血管が障害されることで生じる。
進行すると出血や新生血管形成などが起こり、視力障害につながる。
初期には自覚症状が乏しいこともあるため、定期的な眼科受診が重要である。
糖尿病腎症
糖尿病腎症では、糸球体を中心とした腎障害が進行する。
初期には尿中アルブミンの増加が重要な手がかりとなり、進行すると腎機能が低下する。



特に腎症では、まずアルブミン尿に注目しましょう。
糖尿病足病変
神経障害による感覚低下や血流障害などが重なると、足に潰瘍や感染を生じやすくなる。
進行すると壊疽につながることもあるため、日常的な足の観察やフットケアが重要である。
国家試験の狙い目
国家試験では、症状や検査所見からどの病態・合併症を考えるか判断することが重要である。
- 多尿・口渇・多飲
→ 尿糖増加による浸透圧利尿 - ケトン体増加・Kussmaul呼吸・アシドーシス
→ 糖尿病ケトアシドーシス(DKA) - 著しい高血糖・高度脱水・意識障害
→ 高浸透圧高血糖状態(HHS) - 手足のしびれ・感覚低下
→ 糖尿病神経障害 - 網膜出血・新生血管
→ 糖尿病網膜症 - アルブミン尿・腎機能低下
→ 糖尿病腎症
これだけは覚えて帰ろう
- 高血糖 → 尿糖増加 → 浸透圧利尿 → 多尿・脱水・口渇
- DKAはケトン体増加+代謝性アシドーシスが重要
- HHSは著しい高血糖+高度脱水が重要
- 糖尿病の三大合併症は神経障害・網膜症・腎症
- 糖尿病腎症ではアルブミン尿が重要な手がかりとなる









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