薬剤師国家試験出題項目

筋肉収縮の調節機構

Section4 筋肉収縮の調節機構

1 筋収縮のCa2制御

いずれの筋肉も細胞質のCa濃度変化により制御されるが、その制御機構は筋肉によって異なる。

2 筋収縮の分子機構

横紋筋(骨格筋、心筋)と平滑筋では、筋肉の収縮機構が異なる。

3 筋収縮の制御機構

3.1 骨格筋の収縮

骨格筋を支配している運動神経の末端は分枝しており、多数の筋線に接合している。このことから、1個の運動神経が興奮すると多数の筋線維が同時に収縮する。運動神経の末端と筋線維の接合部は神経筋接合部とよばれ、神経筋接合部にアセチルコリンが放出されると、シナプス後膜に存在するニコチン性アセチルコリン受容体が刺激を受け、Naが細胞内に流入することで終板電位が発生する。これが閾値に到達すると、終板部周辺の膜電位依存性Naチャネルが開口し、活動電位が発生してシグナルが伝わる。筋細胞には横行小管(T管)があり、発生した活動電位はT管系を通じて筋小聴体からCa2を遊離し、骨格筋の収縮をひき起こす。

3.2 心筋の収縮

心筋線維は、骨格筋と異なり線維が分枝しており、それらが隣接する心筋線維と吻合することで網目状の構造をしている。また、単核細胞である心筋細胞の集合体であり、心筋細胞間の境界膜の部分の電気抵抗は小さいため、1つの細胞が興奮して収縮すると電気的興奮が連続して伝わり、心筋全体が収縮する。心房と心室は一体になっておらず、その間には結合組織が存在するため、直接の興奮の伝播は起こらない。心房から心室への興奮は刺激伝導系とよばれる特殊な心筋線維により伝播され、心房の興奮は0.1〜0.2秒遅れて心室に伝わり連続した収縮を発生する。
心筋は自律神経に支配されており、不随意な自動運動を営む、心臓が規則正しく拍動するのは、心筋細胞の一部である特殊な細胞群(ペースメーカー細胞、特殊心筋線維)が自発的に規則正しく興奮を発生し、そこで発生した興奮が心臓全体に伝わり収縮を起こさせるためである。ペースメーカー細胞も心臓の働きに関与しているが、最上位で心臓の働きを支配しているのは房室結節であり、そこから生じた興奮はまず心房に広がり刺激伝導系によって心室に伝えられる。
心臓の拍動はペースメーカー細胞により制御されるとともに自律神経(交感神経、副交感神経)によっても制御されている。交感神経は心房と心室の全体に分布しており、交感神経が刺激されるとペースメーカー細胞の興奮頻度が増加し、心拍数が増加する。さらにノルアドレナリンは、アドレナリンβ1受容体(Gsタンパク質共役型受容体)を刺激することで細胞質のCa2を増大させるため、心房筋や心室筋の収縮力も増大させる。一方、 副交感神経は主に洞房結節や房室結節に分布しており、副交感神経が刺激されると心拍数が減少する。

3.3 平滑筋の収縮

平滑筋は、細長い紡鎌形の平滑筋細胞からできており、呼吸器系、消化器系、血管リンパ管系、生殖器系、眼球筋、外分泌腺の導管に存在し、呼吸、消化、循環、生殖、排泄、焦点調節、体温調節などに関与する。平滑筋細胞は単核で心筋細胞よりも小さく、長輪方向に収縮するが、組織ごとその機能に合った細胞配列をとっているため、さまざまな様式で収縮する。平滑筋は、横紋筋のようにアクチンとミオシンが規則正しく配列しておらず、アクチンとミオシンが近づくまでに時間を要するため、ゆっくり収縮する。平滑筋は、平滑筋細胞の間の連絡の有無によって、単一性平滑筋と多元性平滑筋に分類できる。

平滑筋は心筋と同様に不随意筋であり、自律神経によって支配されている。多くの場合、交感神経と副交感神経の拮抗的二重支配を受けており、その支配様式は平滑筋の種類で異なる。平滑筋は、神経終末より放出される神経伝達物質が受容体を介して発生するシグナルにより収縮または弛緩する。

◇関連問題◇
第99回問112、第104回問109

 

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