第X因子(Factor X)は、血液凝固カスケード(凝固系)の中心的な役割を果たす血漿タンパク質で、スチュアート・プロウェア因子(Stuart-Prower Factor)と呼ばれる。この因子は、外因性経路および内因性経路の両方から活性化され、最終的な共通経路(共通凝固経路)を開始する重要な酵素である。
第X因子の役割と機能
- 活性化:
- 第X因子は、外因性または内因性経路を通じて活性化され、活性化第X因子(Xa)となる。
- 活性化のプロセス:
- 外因性経路:トロンボプラスチン(組織因子)と第Ⅶa因子(活性化第Ⅶ因子)が第X因子を活性化。
- 内因性経路:第Ⅷa因子と第Ⅸa因子(活性化第IX因子)が第X因子を活性化。
- プロトロンビナーゼ複合体の形成:
- 活性化第X因子(Xa)は、第V因子(Va)、カルシウムイオン(Ca2+)、およびリン脂質と共にプロトロンビナーゼ複合体を形成。
- この複合体はプロトロンビン(第II因子)をトロンビンに変換する役割を担います。
- 血栓形成の促進:
- トロンビンはフィブリノーゲンをフィブリンに変換し、最終的に安定した血栓を形成する。
- 第X因子はこの一連のプロセスを効率的に進めるための重要なステップを提供する。
第X因子の生化学的性質
- 構造:
- グリコプロテインであり、肝臓でビタミンK依存的に合成される。
- ビタミンK依存性:
- 第X因子の合成にはビタミンKが必要である。
- ビタミンK欠乏やクマリン系抗凝固薬(ワルファリン)の使用により活性が低下する。




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