第Ⅶ因子(第7因子、凝固第Ⅶ因子、Factor Ⅶ, Ⅶ)は、血液凝固に関与するタンパク質の一つであり、外因性凝固系を活性化する重要な役割を担う。この因子は、肝臓で合成され、ビタミンK依存性のタンパク質として知られる。
役割と機能
第Ⅶ因子は、凝固カスケード(凝固反応の連鎖)において外因性経路を開始する主要な因子である。以下のようなメカニズムで機能する:
- 組織因子(TF)との結合
- 血管が損傷すると、損傷部位から放出される組織因子(Tissue Factor, TF)と結合して活性化される。
- この結合により、活性化第Ⅶ因子(FⅦa)となる。
- 下流の凝固因子の活性化
- 活性化された第Ⅶ因子(FⅦa)は、第X因子や第IX因子を活性化する。
- これにより、トロンビン生成が促進され、血液の凝固が進行する。
- 血栓形成の開始
- 外因性経路は迅速に血栓形成を開始する役割を果たし、出血を防ぐための一次的な凝固を担う。
第VII因子の特性
- 合成部位:肝臓
- 依存性:ビタミンK依存性のタンパク質であり、ビタミンKが不足すると活性が低下する。
第VII因子の異常
1. 第VII因子の欠乏症
- 先天性欠乏症(稀な遺伝性疾患)や後天性欠乏症(肝疾患やビタミンK欠乏など)が存在する。
- 症状:出血傾向(鼻血、皮下出血、消化管出血、月経過多など)。
- 治療:第Ⅶ因子濃縮製剤やビタミンKの補充。
2. 第VII因子の過剰活性
- 過剰な活性化は血栓症のリスクを高める可能性がある。
3. ワルファリンの影響
- 抗凝固薬であるワルファリンはビタミンK依存性因子(第Ⅶ因子を含む)の合成を阻害する。その結果、凝固能が低下する。
第VII因子と臨床検査
- プロトロンビン時間(PT)
- 第Ⅶ因子の活性を評価するために使用される検査。
- PTが延長している場合、第Ⅶ因子の欠乏や機能異常が疑われます。
- 国際標準比(INR)
- 抗凝固療法(例:ワルファリン治療)の管理において、第Ⅶ因子の活性が間接的にモニタリングされる。




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