53歳男性。体重50 kg。胃がんと診断され、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤とシスプラチンとの併用療法が施行されることになった。
問274 (薬剤)
この患者において、シスプラチンの点滴静注終了後の体内動態は線形2−コンパートメントモデルに従い、α相(分布相)の半減期は10分、β相(消失相)の半減期は42時間であった。片対数グラフに示す血清中濃度推移として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
解答・解説
解答
4
解説
2−コンパートメントモデルで消失する薬物の血中濃度推移には、薬物投与直後のα相(分布相)とα相終了後のβ相(消失相)が認められる。2−コンパートメントモデルに従う薬物の血清中濃度推移(片対数グラフ)を以下に示す。
問題文に「シスプラチンの点滴静注終了後の体内動態は線形2−コンパートメントモデルに従い、α相(分布相)の半減期は10分、β相(消失相)の半減期は42時間であった」と記載されていることから、α相(分布相)の半減期が10分、β相(消失相)の半減期が42時間である選択肢4のグラフがシスプラチンの血中濃度推移を表している。
問275 (実務)
今回の治療法の副作用とその対策に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- 嘔気・嘔吐の副作用発現頻度が高い。
- 骨髄抑制などの副作用を回避するために、血液検査を頻回行う。
- シスプラチンによる腎毒性軽減のために、大量の輸液投与を行う。
- 利尿剤の併用は禁忌である。
- 副作用予防のために、いずれの薬剤も休薬期間が必要である。
解答・解説
解答
4
解説
1 正しい
本化学療法では、ほぼ全例に悪心・嘔吐、食欲不振等の消化器症状が認められる。
2 正しい
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤を投与する際は、骨髄抑制、劇症肝炎等の重篤な副作用を回避するために各クール開始前及び投与期間中は2週間に1回以上、臨床検査(血液検査、肝・腎機能検査等)を行う。
シスプラチンを投与すると、急性腎不全等の腎障害、骨髄抑制等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(腎機能検査、血液検査、肝機能検査等)を行う。
3 正しい
シスプラチンの毒性を軽減するために以下の処置を行う。
シスプラチン投与前:1,000~2,000 mLの適当な輸液を4時間以上かけて投与する
シスプラチン投与終了後:1,000~2,000 mLの適当な輸液を4時間以上かけて投与する
また、尿量を確保するためにマンニトール及びフロセミド等の利尿剤を投与する
4 誤っている
5 正しい
本化学療法には、副作用予防のために休薬期間が設けられている。
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