第98回薬剤師国家試験 問151
グラフは、摘出平滑筋の収縮に対する薬物Aと薬物Bの濃度-反応曲線を示している。この実験結果に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
ただし、これらの薬物は同一の受容体結合部位にのみ作用し、また、受容体への結合は可逆的で速やかに起こるものとする。

1 薬物Aは部分刺激薬(partial agonist)である。
2 薬物AのpD2値は約6である。
3 薬物Bは完全刺激薬(full agonist)であり、その内活性(intrinsic activity)は100である。
4 10−5 Mの薬物Bによる収縮は、10−6 Mの薬物Aにより抑制されると推定できる。
解答・解説
解答
1、4
解説
1 正
グラフより、薬物Aの薬物濃度が上昇しても、最大反応に対して50%の収縮を示していることから、薬物Aは部分刺激薬(partial agonist)であるといえる。
2 誤
pD2値は、その薬物の最大反応の50%の反応を示す薬物濃度(EC50)の負の対数である。よって、薬物AのおよそのpD2値はグラフより、pD2値=-log(EC50)=-log10-7=7となる。
3 誤
グラフより、薬物Bの薬物濃度が上昇すると、最大反応(100%の収縮)を示していることから、薬物Bは完全刺激薬(full agonist)であり、また、その内活性は1であるといえる。
内活性とは、受容体に結合したことによって反応を生じさせる効率のことであり、完全作動薬の内活性は1、部分作動薬ではそれ以下となる。
4 正
グラフより、10−6 Mの薬物Aも10−5 Mの薬物Bもそれぞれの最大反応を示す用量であり、受容体に最大限結合する濃度である。よって、10−6 Mの薬物Aと10−5 Mの薬物Bを併用すると、同一の受容体において競合的阻害現象が起こり、薬物A(部分刺激薬)により薬物B(完全刺激薬)の収縮は抑制されると推定できる。