48歳男性。白血病に対する化学療法として、イマチニブメシル酸塩錠の投与が開始された。
問222 (実務)
イマチニブメシル酸塩錠に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- 染色体検査又は遺伝子検査により、慢性骨髄性白血病と診断された患者に使用する。
- 嘔吐のリスクを軽減するため、セロトニン受容体遮断薬を用いる。
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人への投与は禁忌である。
- 消化管吸収が悪いため、空腹時にコップ一杯の水とともに服用する。
- CYP3A4による代謝を受けるため、CYP3A4活性を阻害する薬剤と併用する場合、血中濃度が上昇する可能性がある。
解答・解説
解答
4
解説
1 正しい
イマチニブメシル酸塩の適応症を以下に示す。
・慢性骨髄性白血病(染色体検査又は遺伝子検査により慢性骨髄性白血病と診断された場合)
・KIT(CD117)陽性消化管間質腫瘍
・フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病 など
2 正しい
抗悪性腫瘍薬であるイマチニブメシル酸塩による嘔吐のリスクを軽減するために、セロトニン5−HT3受容体遮断薬(オンダンセトロン塩酸塩水和物など)を用いる。
3 正しい
イマチニブメシル酸塩は、妊娠又は妊娠している可能性のある婦人に禁忌である。
4 誤っている
イマチニブメシル酸の服用時には、消化管刺激作用を最低限に抑えるため、食後に多めの水で服用する必要がある。
5 正しい
イマチニブメシル酸塩は、主にシトクロムP450(CYP3A4)で代謝されるため、CYP3A4活性を阻害する薬剤と併用すると、血中濃度が上昇する可能性がある。
問223 (物理・化学・生物)
イマチニブが作用する標的タンパク質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 染色体転座により生成するキメラタンパク質である。
- セリン又はトレオニンをリン酸化する活性を有する。
- 持続的なキナーゼ活性を有する。
- Gタンパク質の一種で、細胞増殖を制御する。
解答・解説
解答
1、3
解説
イマチニブが作用する標的タンパク質には、Bcr−Abl、v−Abl、c−Ablチロシンキナーゼ、KITチロシンキナーゼなどがある。Bcr−Ablチロシンキナーゼは、第9番染色体と第22番染色体が相互転座で生じるbcr−abl遺伝子を持つ異常染色体(フィラデルフィア染色体)により生成するキメラタンパク質であり、持続的なチロシンキナーゼ活性を有し、過剰な細胞増殖を引き起す。
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