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第97回薬剤師国家試験 問173

肝代謝のみで消失する薬物を経口投与する場合において、以下の変化が生じたとする。血中濃度-時間曲線下面積(AUC)が2倍に上昇するのはどれか。2つ選べ。ただし、この薬物の消化管からの吸収率は100%とし、肝臓での挙動はwell-stirred modelに従うものする。

  1. 肝血流速度が1/2に低下した場合
  2. タンパク結合の置換により血中非結合形分率が2倍に上昇した場合
  3. 結合タンパク質の増加により血中非結合形分率が1/2に低下した場合
  4. 肝代謝酵素の誘導により肝固有クリアランスが2倍に増加した場合
  5. 肝代謝酵素の阻害により肝固有クリアランスが1/2に低下した場合

解答・解説

解答
3、5

解説

問題文に「肝代謝のみで消失する薬物」、「この薬物の消化管からの吸収率は100%」とあることから、小腸で初回通過効果をまぬがれた割合Fg=1、全身クリアランスCLtotは肝クリアランスCLhと等しく、消化管吸収率Fa=1であることがわかる。

これらのことから、血中濃度-時間曲線下面積AUCを以下のように変形することができる。

<1-Ehを求める>

<CLhを求める>

1-Eh、CLhをはじめに求めたAUCの式に代入すると以下の式が得られる。

上記より、この薬物の血中濃度-時間曲線下面積AUCは、投与量Dに比例し、血漿タンパク結合率f、肝固有クリアランスCLintに反比例する。よって、この薬物の血中濃度-時間曲線下面積AUCが2倍に増加するのは、「結合タンパク質の増加により血中非結合形分率が1/2に低下した場合」と「肝代謝酵素の阻害により肝固有クリアランスが1/2に低下した場合」である。

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