25歳女性。既婚。子供を欲しいと思っている。2ヶ月ほど前から屋外での作業の後、微熱、疲労感、関節痛及び両頬に紅斑が現れたため、市販の感冒薬と解熱鎮痛薬で様子を見ていた。3日前から38°C台の発熱と下肢の浮腫、冷たいものを持つと両手指のしびれ蒼白現象などが出現したため、総合病院を受診したところ、精査目的で入院となった。
血液検査結果は以下のとおりであった。
問296(病態・薬物治療)
この患者の病態に関する記述として正しいのはどれか。2つ選べ。
- 関節リウマチの典型的な初期症状が発現している。
- 発症には、主に細胞性免疫(Ⅳ型アレルギー)が関与する。
- 検査結果より、ループス腎炎は否定できる。
- 手指にRaynaud(レイノー)現象が認められる。
- 粘膜症状や精神神経系症状など多様な全身症状が現れることがある。
[su_spoiler title=”解答・解説”]
解答
4、5
解説
1 誤
本症例では、抗核抗体640倍、抗Sm抗体8倍であることから全身エリテマトーデス(SLE)の疑いが強く、関節リウマチの初期症状が発現している可能性は低い。
2 誤
SLEの発症には、免疫複合体が組織に沈着するⅢ型アレルギーが関与する。
3 誤
本症例では、腎機能検査(BUN 45 mg/dL(基準値:8〜20mg/dL)、尿タンパク2+、クレアチニン2.0 mg/dL(基準値:0.2〜0.9 mg/dL))は異常であり、ループス腎炎の可能性が高い。
4 正
Raynaud現象(冷感刺激や精神的なストレスによって生じる末梢循環障害)は、SLEにしばしば合併する症状の一つである。本症例にみられる両手指のしびれや蒼白現象の出現は、Raynaud現象であると考えられる。
5 正
SLEは、慢性の全身性自己免疫疾患であり、皮膚、関節、腎臓、神経系など多様な全身症状を呈する疾患である。
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問297(実務)
その後、この患者に対して、以下の処方で治療が開始されることになった。
この患者に対する入院中から退院時の服薬指導において、病棟薬剤師が患者に伝える内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
- 重篤な臓器障害が発症した場合は、ステロイドパルス療法として1クール7日間点滴投与すること。
- ステロイド抵抗性を示した場合は、免疫抑制薬が追加されること。
- 退院後の維持療法では、同用量のプレドニゾロンが用いられること。
- 屋外での作業時には日よけをすること。
- 妊娠は、病状に影響しないこと。
[su_spoiler title=”解答・解説”]
解答
2、4
解説
1 誤
重篤な臓器障害が発症した場合、ステロイドパルス療法として、メチルプレドニゾロンなどを用いて、3日間程度の短期間に大量投与を行う。
2 正
SLEにおいて副腎皮質ステロイドの効果が不十分な場合は、免疫抑制薬(例:アザチオプリン、シクロホスファミドなど)を併用することがある。
3 誤
SLEの治療では、急性期にステロイドを高用量使用し、寛解導入後には、ステロイドを徐々に減量し、維持療法へと移行する。
4 正
日光曝露がSLE悪化に関連するため、日光を避けるよう指導する。
5 誤
妊娠はSLEの病勢に影響を及ぼす可能性があり、特に妊娠高血圧症候群のリスクが高まるため、妊娠にあたっては慎重な管理が必要である。
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