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第110回薬剤師国家試験 問284〜285

82歳男性。夜中に咳込みが激しくなり、病院を受診したところ、気管支ぜん息と診断され、処方1の薬剤が処方された。薬剤師は吸入練習機を用いて吸入指導を行い、薬剤を交付した。しかし、数日後、家族が薬局に来局し、「処方1の薬剤を吸入するとむせるようになり、吸入が困難になった」と話した。薬剤師が処方医にこの情報を提供したところ、再診察を行い処方1を処方2に変更した。

問284(薬剤)
処方1と処方2の薬剤に関する記述として正しいのはどれか。2選べ。

  1. 処方1と処方2の薬剤は、いずれも無菌試験法に適合する。
  2. 処方1と処方2の薬剤は、いずれも吸入剤の空気力学的粒度測定法に適合する。
  3. 処方1の薬剤に用いられている容器は、薬剤を含むエアゾール缶、定量バルブとアクチュエーター等から構成される。
  4. 処方2の薬剤は、吸入量が一定となるように調製された固体粒子のエアゾールとして吸入する。
  5. 処方2の薬剤には、耐圧性の密封容器が用いられる。
解答・解説

解答
25

解説

処方1(アニュイティ)
ドライパウダー吸入器(DPI)を使用。薬剤は粉末で、患者自身の吸入力で薬剤を気道に届ける。吸入力が弱いと吸入困難になるため、高齢者や呼吸機能が低下した患者では不向きな場合がある。

処方2(オルベスコ)
加圧定量噴霧器(pMDI)を使用。薬剤はエアゾール状で、ガスの圧力により薬剤が噴霧されるため、弱い吸入力でも投与が可能。使用時には吸入と噴霧のタイミングを合わせる必要がある。

1 誤
無菌試験は、注射剤や点眼剤、眼軟膏剤に適用される。

2 正
吸入剤の空気力学的粒度測定法は、吸入剤から発生するエアゾール中の微粒子特性を評価する試験法であり、粒子径分布などの特性を確認する目的で、吸入粉末剤および吸入エアゾール剤に適用される。

3 誤
薬剤を含むエアゾール缶+定量バルブ+アクチュエーター等で構成されるのは、吸入エアゾール剤(処方2)である。

4 誤
吸入量が一定となるように調製された固体粒子のエアゾールを吸入することができるのは、吸入粉末剤(処方1)である。

5 正
吸入エアゾール剤は耐圧性の密封容器を用いることが規定されている。なお、吸入粉末剤は密閉容器を用いることが規定されている。

問285(実務)
処方2の薬剤について、家族に対する薬剤師の説明として適切なのはどれか。2選べ。

  1. 急性の発作にも使用できます。
  2. 毎回、「試し噴霧」を行い、噴霧を確認してから使用してください。
  3. 噴霧のタイミングに合わせて、ゆっくり深く吸い込んでください。
  4. 吸入後のうがいは必要ありません。
  5. 吸気と噴霧のタイミングを合わせにくいときは、吸入補助具の使用をお勧めします。
解答・解説

解答
35

解説
1 誤
本剤は定期的に吸入し、発作を予防する目的で使用する薬剤であり、急性発作時に即効性を期待して使用する薬ではない。急性症状には短時間作用型β₂刺激薬(SABA)などが用いられる。

2 誤
吸入エアゾール剤は、開封時や長期間使用していなかった場合を除き、毎回「試し噴霧」を行う必要はない。

3 正
吸入時は、薬剤を肺の奥まで届けるために、噴霧のタイミングに合わせてゆっくり深く吸い込むことが重要である。また、薬剤の効果を高めるために、吸入後は510秒程度息を止める必要がある。

4 誤
本剤にはステロイドが含まれており、吸入後は必ずうがいが必要である。うがいを怠ると、口腔カンジダ症や嗄声などの副作用リスクが高まる。

5 正
吸入エアゾール剤では、吸入と噴霧のタイミングを合わせる「協調動作」が必要である。これが難しい場合は吸入補助具(スペーサー)を用いることで薬剤の肺到達率が向上し、口腔内副作用の低減にもつながる。

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