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第110回薬剤師国家試験 問230〜231

新聞報道で、致死率の高い感染症である重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を知った中学生(14歳)と父親がドラッグストアに来局した。この親子は、夏休みに登山をすることになったので、SFTSとその感染を防ぐための方法を教えて欲しいとの相談があった。

問230(衛生)
SFTSに関する説明内容として正しいのはどれか。2選べ。

  1. 感染症法(注)においてSFTSが含まれる四類感染症は、全数報告対象とされている。
  2. 原虫によって引き起こされる感染症である。
  3. ダニが媒介する感染症である。
  4. SFTSに対するワクチンがある。
  5. 感染者との接触及び血液を介した感染のおそれはない。

(注)感染症法:感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

解答・解説

解答
13

解説
1 正
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、感染症法に基づき四類感染症に分類されている。四類感染症を含む一類〜四類感染症の全疾患は全数報告対象であり、医師は診断後、速やかに保健所へ届出る義務がある。

2 誤
SFTSは原虫ではなく、SFTSウイルスによって引き起こされるウイルス感染症である。原虫感染症とは原因微生物の分類が異なる。

3 正
SFTSの主な感染経路は、SFTSウイルスを保有するマダニによる刺咬である。

4 誤
2025年時点において、SFTSに対するワクチンは実用化されていない。

5 誤
SFTSはマダニを介した感染が主であるが、患者の血液や体液との接触を介したヒトヒト感染(特に医療従事者への感染)が報告されており、接触感染のリスクがあるとされている。

問231(実務)
薬剤師はこの親子に、皮膚の露出を少なくするために長袖・長ズボンなどの衣服を着用することに加えて、虫よけ剤の使用を勧めた。虫よけ剤の活性成分として適切なのはどれか。2選べ。

  1. イミダクロプリド
  2. ディート
  3. イカリジン
  4. ジクロルボス
  5. ジフェンヒドラミン
解答・解説

解答
23

解説
虫よけ剤(忌避剤)とは、蚊やマダニなどの吸血害虫を近づけず、刺されるのを防ぐことを目的に使用されるものである。殺虫剤とは異なり、害虫を殺すのではなく、近づけない特徴を有する。
有効成分としては、ディートとイカリジンが代表的であり、いずれも日本国内で市販されている虫よけ剤に含まれている。これらは、害虫が人の呼気や皮膚から発する二酸化炭素やにおいを感知する能力を一時的に混乱させる作用を持ち、結果として接近を防ぐ。
なお、ディートは濃度によって年齢制限があるのに対し、イカリジンは全年齢で使用可能であり、皮膚への刺激も少ないという特徴がある。

1 誤
イミダクロプリドは、ネオニコチノイド系の殺虫剤であり、殺虫作用をもつが虫よけ剤ではない。

2 正
ディートは、代表的な虫除け剤の成分であり、蚊・マダニ・トコジラミ・ノミなどに有効とされている。年齢によって使用量や濃度の制限があるが、虫よけ剤として広く使用されている。

3 正
イカリジンは、虫よけ剤の成分であり、蚊やマダニ、トコジラミなどに有効とされている。

4 誤
ジクロルボスは、有機リン系の殺虫剤であり、虫除け剤ではない。

5 誤
ジフェンヒドラミンは、第一世代抗ヒスタミン薬(H₁受容体遮断薬)であり、虫刺され後のかゆみやじんましんなどの治療に用いられる。

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