55歳女性。身長162cm、体重51kg。腹痛と微熱が続くため総合病院内科を受診した。来院時の体温37.6℃。血液検査で炎症所見、及び左下腹部に圧痛をともなう腫瘍が認められたため精査目的で入院となり、直腸がんStageIVbと診断された。コンパニオン診断が実施され、その結果をもとにmFOLFOX6（レボホリナート、フルオロウラシル、オキサリプラチン）にセツキシマブを組合せた治療を実施する方針となった。
問224（実務）
この化学療法を選択するにあたり、参照されたコンパニオン診断の検査項目はどれか。１つ選べ。
- ALK融合遺伝子
- EGFR遺伝子
- HER2タンパク質
- RAS遺伝子
- UGT1A1遺伝子
解答・解説
解答
4
解説
コンパニオン診断とは、特定の医薬品の有効性や安全性を一層高めるために、その使用対象患者に該当するかどうかなどをあらかじめ検査する目的で行われる診断のことである。本症例で用いられている薬剤（レボホリナート、フルオロウラシル、オキサリプラチン、セツキシマブ）のうち、コンパニオン診断が必要な薬剤は、セツキシマブである。セツキシマブは、抗EGFRモノクローナル抗体製剤であり、RAS遺伝子野生型に効果があるが、RAS遺伝子変異型に効果が期待できない。そのため、セツキシマブを用いる際、RAS（KRAS/NRAS）遺伝子検査を行う必要がある。
問225（物理・化学・生物）
前問で参照された検査項目で確かめられたのはどれか。１つ選べ。
- 特定のがん遺伝子が存在すること。
- 特定のがん抑制遺伝子に変異が存在すること。
- 特定のがん原遺伝子（注）に変異が存在しないこと。
- 特定の薬物代謝酵素遺伝子の一塩基多型のタイプが存在すること。
- 転座した異常染色体が存在すること。
（注）がん原遺伝子：原がん遺伝子ともいう。
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