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第110回薬剤師国家試験 問220〜221

40歳女性。全身倦怠感が続いたため、近医を受診した。血液検査の結果は以下のとおりであった。

220(実務)
 この患者の検査結果及び薬物治療について、適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 血液検査の結果から、巨赤芽球性貧血であると考えられる。
  2. 薬で便が黒くなる場合があるため、事前に情報提供しておく必要がある。
  3. この薬の頻度の高い副作用に血栓塞栓症がある。
  4. 血清鉄量が改善されたら、この薬は速やかに服用を中止する。
  5. 薬を食後服用しているのは、悪心・嘔吐の副作用を軽減させるねらいがある。
解答・解説

解答
25

解説
本症例では、処方されている薬が鉄剤(クエン酸第一鉄ナトリウム)であり、また、血液検査の結果(MCV:低値、MCH:低値→小球性低色素性貧血、フェリチン(貯蔵鉄):低値、総鉄結合能(TIBC):高値)から、「鉄欠乏性貧血」であると考えられる。

1 誤
前記参照

2 正
鉄剤を服用すると、便が黒くなることがあるため、事前に情報提供しておく必要がある。

3 誤
血栓塞栓症は、鉄剤の一般的な副作用ではない。なお、エリスロポエチン製剤、女性ホルモン製剤の副作用として、血栓塞栓症が起こることがある。

4 誤
血清鉄量が改善しても、フェリチン(貯蔵鉄)が十分回復するまで、鉄剤を継続服用する必要がある。

5 正
鉄剤は、副作用として胃障害(悪心・嘔吐など)を起こしやすいため、食後に服用して副作用を軽減する必要がある。

221(物理・化学・生物)
 この患者に当てはまるのはどれか。2選べ。

  1. 【 ア 】の数値は、UIBCの基準値より低い。
  2. 血清フェリチン値が基準値より低いことから、貯蔵鉄が不足している。
  3. 血中トランスフェリン濃度は、基準値よりも低い。
  4. 服用した鉄剤は、3価の鉄イオンとして輸送体により腸管から吸収される。
  5. 消化管から吸収された鉄により、まず血清鉄量が増加し、遅れて貯蔵鉄量が増加する。  
解答・解説

解答
25

解説
1 誤
不飽和鉄結合能(UIBC)は、「総鉄結合能(TIBC)-血清鉄」より算出することができる。本症例では、TIBCが高値を示し、血清鉄が低値(鉄欠乏性貧血で血清鉄が少ない)を示すことから、UIBCは高値を示す。

2 正
フェリチンは鉄の貯蔵量を示すことから、貯蔵鉄が不足している。

3 誤
鉄欠乏状態では、代償的に鉄の輸送に関与するトランスフェリンが増加し、それに伴ってTIBCが増加する。本症例では、鉄欠乏状態にあり、TIBCが増加しているため、血中トランスフェリン濃度は基準値より高い。

4 誤
小腸上皮において、鉄は2価(Fe2)として吸収される。

5 正
消化管から吸収された鉄により、まず血清鉄量が増加し、次に貯蔵鉄(フェリチン)が増加する。

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