第110回薬剤師国家試験　問198〜199

38歳女性。アレルギー性鼻炎で近医を受診し、処方1による治療を受けていた。しかし、薬剤師は処方1の薬剤の供給が不安定になったとの情報を得たため、医師と他剤への変更を検討し、処方1は処方2へ変更された。なお、処方1の薬剤と処方2の薬剤は、添加剤が同じものを調剤した。

問198（実務）
変更後の処方2に関して薬剤師が患者に行う説明として、適切なのはどれか。２つ選べ。

処方2の薬剤は、処方1の薬剤と同じように服用してください。
処方2の薬剤は、処方1の薬剤と効果が同等です。
処方2の薬剤は、処方1の薬剤より副作用が軽くなります。
処方1の薬剤の供給が安定すれば、医師の同意がなくても処方1に戻せます。
飲合せに注意する薬が処方1の薬剤と異なりますので、今後別の薬を服用する場合は、相談してください。

解答・解説

解答
1、2

解説
レボセチリジンは、セチリジンの光学異性体（R体）のみを単離した薬剤であり、セチリジンの約半量で同等の効果を示すことが薬理学的および臨床的に確認されている。

１　正
処方1（セチリジン10mg）と処方2（レボセチリジン5mg）は、服用方法・回数・タイミングが同一であるため、「同じように服用してください」と説明するのは適切である。

２　正
レボセチリジンはセチリジンのR体であり、半量で同等の薬効を持つことが科学的に証明されている。したがって、両者は効果が等価とされる。

３　誤
今回の変更は供給不足が理由であり、副作用軽減を目的とした変更ではない。「副作用が軽くなる」と説明するのは不適切である。

４　誤
処方の変更には必ず医師の判断と同意が必要であり、たとえ供給が安定しても、医師の同意なしに処方を戻すことはできない。

５　誤
レボセチリジンはセチリジンのR体であり、基本的な相互作用の注意点は同様である。「飲み合わせに注意する薬が異なる」と説明するのは誤解を生むため適切でない。

問199（物理・化学・生物）
セチリジン塩酸塩はそのR-エナンチオマーとS-エナンチオマーのラセミ体で、旋光性は示さない。一方、レボセチリジン塩酸塩はR-エナンチオマーであり、旋光性を示し、比旋光度[α]²⁵_D＝＋10.80である。いま、レボセチリジン塩酸塩を含む原末1.00 gを量り、水に溶かして全量200 mLとし、層長100 mmの測定管を用いて温度25℃で旋光度α_Dを測定したところ、＋0.052°であった。この原末中のレボセチリジン塩酸塩の含量に最も近いのはどれか。 1つ選べ。ただし、原末中にはR-エナンチオマー以外に旋光性を示す物質は含まれないものとする。