75歳男性。身長164cm、体重52kg。胃全摘出術後3日目の消化器外科入院中に、38.3°Cの発熱が認められ、咳、痰と呼吸困難を訴えた。胸部X線検査で右下肺野に浸潤影を認め、喀痰培養検査によりMRSAが検出されたため、以下の処方により治療を開始することとなった。
(身体所見及び検査値)
血圧101/60mmHg、白血球11,000/μL、CRP 6.7mg/dL、AST 22 IU/L、
ALT 19 IU/L、血清クレアチニン 0.79mg/dL、eGFR 72.7mL/min/1.73m2、
CCr 59mL/min、 BUN 18.2mg/dL
問276(実務)
消化器外科担当の看護師から感染制御部の薬剤師に、この処方薬剤に関する情報の提供依頼があった。薬剤師が看護師に情報提供する内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- 処方薬剤の投与により血圧が上昇しやすいので、定期的に血圧を確認すること。
- 処方薬剤は塩化物イオン濃度が低くなると活性が低下するため、ブドウ糖液との混和は避けること。
- 腎機能が低下しているため、処方薬剤の用量調節をすること。
- 第8脳神経障害が発現することがあるため、耳鳴、聴力低下がないか確認すること。
- レッドネック症候群の発現を防ぐために、60分以上かけて点滴静注すること。
問277(薬剤)
この患者におけるバンコマイシンの分布容積は62.5L、 クリアランスは3.6L/hと見積もられている。2回目投与直前のバンコマイシンの血中濃度と定常状態におけるトラフ値の組合せとして適切なのはどれか。1つ選べ。
ただし、投与量の計算において、投与に要する時間は投与間隔に対して無視できるほど短いものとし、投与中における体内からのバンコマイシンの消失は無視できるものとする。
2回目投与直前のバンコマイシン血中濃度(µg/mL) | 定常状態におけるトラフ値
(µg/mL) |
|
1 | 4 | 8 |
2 | 4 | 12 |
3 | 8 | 16 |
4 | 8 | 20 |
5 | 12 | 20 |
6 | 12 | 40 |
コメント